留守番 完結編
二十四
「ど、どこへ行くんですか?」
「どこまでお前の家の庭なんだ?」
「知りませんけど、多分あの山の手前ぐらいだと思います。」
「ふうん、凄い屋敷だな。じゃ、こっちの方なら誰もやって来る心配はないって訳だ。おう、あそこにちょうどいい樹があるじゃないか。お誂え向きだな。」
男は鎖を手から放すと一本の樹に近寄り、その辺に落ちていた適当な木材を拾い上げると樹の幹にちょうど十字架のようになるように括り付けていく。男が作業している間、美鈴は逃げるならいまかもしれないと思った。しかし全裸に剥かれて両手は前を隠すことも出来ない後ろ手錠だった。門の方まで走っていっても、大声で助けを呼ぶ勇気が出なかった。
(こんな格好じゃ無理だわ。)
美鈴が逡巡している間に男の作業は終わっていた。
「さて、ここで暫く反省してるんだな。」
(反省・・・?)
美鈴が男の言う意味を酌みかねていると、男は手錠を外すや美鈴を左右に渡した樹に括り付け始めた。
「えっ? こんな格好のまま放置しようっていうの?」
「ふふふ。この辺はやぶ蚊が多そうだからな。知ってるか。蚊ってやつは臭いに惹かれるんだ。汗とか尿とかきつい匂いが好きだからな。ほら、これだ。」
男はポケットからビニール袋に入った白っぽいものを取り出す。昨夜切り裂かれた自分のショーツだと美鈴はすぐに気づく。しかもそれは何かでじとっと濡れている様子だった。
「お前が昨晩洗面器に出したものだよ。たっぷり吸わせてある。それをお前のおっぱいとおまんこのまわりに塗りたくっておいてやる。すぐに蚊がいっぱい集まってくるだろうぜ。」
男の卑劣な考えに美鈴は蒼褪める。しかし男がぐっしょり濡れたパンティの残骸で自分の乳房と股間を擦り上げるのをただどうすることも出来ずにされるがままでいるしかなかったのだ。
「昼前には戻ってきてやるからな。大声で助けを呼んでもいいんだぜ。そんな格好を見られてもいいのならな。」
平然とそう言うと、男は屋敷の方に向かって戻って行ってしまうのだった。
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