留守番 完結編



強制電話

 二十

 男が携帯のスピーカーを切り返ると(ママ)と書かれた電話帳の欄を指で押してからマイク部分を美鈴の方へ突き出す。スピーカーからツルルル・・・という発信音が聞こえてくる。
 「あら、美鈴ちゃん。どうした? 何かあった?」
 「い、いえ・・・。何でもないけど・・・。あの、ママ・・・。帰ってくるのは何時の予定?」
 「えーっと、どうしようかしらね。早目に帰ったほうがいいのかしら?」
 「ううん。そんな事ない。ゆっくりしてきていいから。こっちは一人の方が勉強もはかどるから。」
 美鈴が機転を利かせて、すぐには帰ってこないように仕向ける。その言葉に男も満足げに頷いている。
 「あら、そう? じゃあ、もう二、三日。いいかしら。キヨもすぐ帰ってくるんでしょ?」
 「そうだと思う・・・。こっちの事は心配しないで。」
 「わかったわ。じゃ、また帰る時、電話するから。」
 「わかった。それじゃあね。」
 ツー、・・・。
 「ふふふ。上手いじゃないか。どんな風に電話すればいいのか判ってるようだな。それじゃ、今度はお手伝いだ。キヨっていうんだな。いいか。今度も直ぐに帰って来ないように言うんだぞ。」
 男はお手伝いのキヨらしき番号を探し当てる。
 ツルルル・・・。
 「あら、美鈴お嬢さま。どうかしましたか?」
 「いえ、どうもしないわよ。あの・・・、ママから伝言でね。せっかくの休みなんだから少しゆっくりしてきなさいって伝えておいてというもんだから。」
 「まあ、奥さまが? 本当に申し訳ございません。お父様もお母様もいらっしゃらない時に、お暇を頂くことになってしまって・・・。」
 「いいのよ、気にすることないわ。お葬式なのだもの。仕方ないことよ。」
 「何かお困りのことはございませんでしょうか。」
 「大丈夫よ。お食事もキヨが作り置きしてくれていたものが色々沢山あるから当分大丈夫よ。」
 「そうですか? それじゃ、お言葉に甘えて。何せ、納骨まで一気にやってしまうと申しておりますので、あと二日だけお暇を頂ければ、全部済んでしまうと思いますので。」
 「大丈夫よ。心配しないで。それじゃあね。」
 「ごめんくださいませ。」
 ツー、・・・・。
 「ようし。これで邪魔者はやって来ないって訳だ。たっぷり夜は愉しめるな。」
 「まだ私を犯そうって言うのね。」
 「俺のほうはまだ溜まってるんでね。気持ちよく全部抜きたいからな。お前の口ではやったし、おまんこも嵌めてやったから、次は後ろかな?」
 「う、うしろって・・・。まさか?」
 「そうだよ。尻の穴さ。あそこは締まりがいいっていうからな。」
 「嫌よ、そんなの。絶対、嫌っ。」
 「そうだ。あの寝室にあったお前の母親のビデオ。あれ、最後までまだ観終わってなかったな。あれを観ながら抜きたいから、俺が観ている間、手でしこしこして貰おうかな。」
 「しこしこって・・・。ペニスを握れっていうこと?」
 「よく判ってるじゃないか。発射するまでイカせることが出来たら終わりにしてやる、今晩はな。」
 「もうあのビデオは観たくありません。」
 「じゃ、尻の穴がいいか?」
 「うっ・・・。わ、わかりました。手で・・・します。」
 男は階段の欄干に繋いだ手錠の片側を外すと美鈴の両手に前手錠で掛け直す。そして首輪に付いた鎖を曳いて、美鈴と再び両親のベッドルームへ向かうのだった。

美鈴

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