留守番 完結編 第二部
三十八
「こ、これはどういう事なの? 私の生徒が全裸で樹に繋がれているなんて。しかも、私にまでこんな手錠を掛けて・・・。」
「まだ、状況がお掴めにならないご様子だ。それなら、もう一人の人質を連れて参りましょう。」
「えっ、人質って・・・。まさか。」
男は薫を窓際の手摺りに手錠で繋いだまま、美鈴を監禁している部屋へ上っていく。残された薫は再び屋敷の窓から裏庭の遥か遠くに見える全裸で磔にされている恵子の方を見守る。身体が自由に動かせないらしいのに、さっきから仕切りに腰を振るような格好をしている。遠くから見守る薫にも、それは恵子が身悶えしているらしいことはそれとなく察せられるのだった。
暫くして足音とともに男が消えた扉の向こう側に人の気配が感じられた。
「美鈴さん? 美鈴さんなの? あ、何て格好・・・。」
扉が開いて後ろから押されるようにして薫の前に現れた美鈴は両手を後ろ手に縛られているらしく、口には手拭のようなもので猿轡までされている。スカートの裾はたくし上げられて足の付け根までが丸見えになっている。そして剥き出しの股間には、黒くて太いものが深々と挿し入れられていて、落ちないように細い紐で腰に括り付けられているのだった。
「ううっ、ううっ。」
美鈴が自分の担任の先生の姿を見つけて、しきりに何か訴えようとしているのだが、口に咬まされた猿轡のせいで、声にはならない。
「どうして、こんなこと・・・。」
「あんたの可愛い二人の生徒は、どっちも人質って訳だ。」
「なんて、酷いことを・・・。ねえ、お願いだから、この子の縄を解いてやって。」
「まだ、そういう訳にはいかんのでね。」
「どうしたらいいの? この子たちをこんな目から救いたいの。」
「そいつはあんなの心掛け次第だな。」
「わたしの? 心掛けってどういう意味?」
「あんたが俺の前で従順になって何でもしますって誓うってことさ。」
「何でもしますですって? ・・・。ああ、そういう事ね。わかったわ。何でもするから、この子の縄を解いてやって。」
「まあ、慌てるな。すぐにって訳にはゆかない。」
「だったら、あの股間のモノだけでも抜いてあげてっ。」
「ああ、これかっ。こいつはこれ無しでは居られない身体なんだ。ほれっ、どうだ。気持ちいいだろう?」
男はそういうと、美鈴の股間に深々と突き刺さっているものの端を掴んで上下に揺り動かす。それに合わせて美鈴は切なそうな表情をみせる。
「こいつを抜いて欲しいのか?」
そう言われた美鈴は一瞬、男の方を睨むような仕草をみせたが、すぐに俯いて首を横に振る。
「えっ、どういう事なの?」
「このバイブで振動を受けてないと、あそこが痒くてたまらなくなるんだ。な、そうだろ?」
その言葉に美鈴はかぶりを振るでも頷くでもなく、ただ顔を伏せて俯いたままなのだった。
「おっと、そうだ。もう一人の方を忘れていた。もう充分あそこが痒くて堪らなくなった頃だろう。」
「え、もう一人って。まさか、恵子さんの事?」
「ああ。この家の裏庭はやぶ蚊が多くてね。さっき股間に刺激臭の強いアンモニアを塗りたくっておいてやったから、もう散々蚊の餌食になってる筈だからな。」
「な、何て酷いことを・・・。」
「そろそろ磔から外してこっちへ連れてきてやろう。その間、お前はこの先生とここで大人しくしてるんだぜ。」
男はそう言うと、まだ美鈴の首に嵌めてある首輪の鎖の端を屋根裏部屋への扉の取っ手に括り付けてしまう。
男が出ていってしまうと、美鈴と薫は何とかお互いの窮地を打開しようと近寄ろうとするのだが、薫の手錠も美鈴の首輪の鎖も目一杯引っ張ってもお互いが届かない距離にしか近づけない長さなのだった。
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