留守番 完結編



奴隷犬繋ぎ

 十一

 美鈴は犬に貶められた気持ちで床に這いつくばって男の食事が終わるのを待つしかないのだった。 

 「ふうーっ。なかなか旨かったぜ。お前んとこの召使も料理はなかなかのようだな。」
 美鈴が出した料理を食べ終えた男が、美鈴を見下ろしながら悠々としている。
 「あ、あの・・・。もう服を着させて欲しいのですが。」
 おそるおそる美鈴は切り出してみる。男は床に全裸で這いつくばる美鈴を飼い犬でも観るかのように見下ろしていたが、やおら立ち上がると美鈴を繋いでいる鎖の端を冷蔵庫の取っ手から外す。
 「いいだろ。じゃ、お前の部屋に案内しな。」
 美鈴は服を着させて貰いたいという願いに案外すんなり応じてくれたことにほっとする。しかし鎖に繋がれた首輪は外して貰えず、その事に一抹の不安を感じながら先に立って男を二階の自分の部屋へと導いていく。
 「ほう、ここがお前の部屋か。なかなか洒落た部屋じゃないか。」
 美鈴の後から部屋に入った男は、明るいピンクの壁紙といういかにも女の子らしい雰囲気を物珍しそうに見回していた。そしてドアを閉めるなり、冷蔵庫の取っ手から外して手にしてきた鎖の端を今度はベッドの枠の桟に留めてしまう。
 「服はどこだい?」
 「そこのクロゼットの中です。」
 ベッドポストの脇に繋がれたままなので、服は自分で選ばせてはくれないのだと美鈴は悟る。男は指し示されたクロゼットを開くと、ハンガーに吊るされた衣装を一つひとつ見比べながらあまり気に行ったものが無い様子で、今度はクロゼットの中の箪笥の抽斗を漁る。
 「おう、ちょうどいいのがあった。お前、テニスをやるのか。」
 男が抽斗の中から引っ張り出したのはテニスのスコートだった。いろいろある中でも一番丈の短いスカートだった。男が放って寄こすので、とにかく早く裸の股間を隠したくて慌ててそれを腰に着ける。

美鈴

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