パンツ一枚戦闘モード

妄想小説


女敏腕警護官への逆襲



 八

 男の卑劣な企みに、冴子は再び身構える。走って逃げても二人が相手では逃げおおせる可能性は無いとは言えないが、挟み撃ちにされてしまえば逃げきれないかもしれなかった。それに車には大臣が残されていた。大臣を置いて逃げる訳にはゆかないのだった。
 「そんな格好でまだ戦うつもりかい。そんならたっぷりと相手になってやろうじゃないか。」
 不敵にせせら笑いをする男二人を相手に冴子は素手で戦わなければならない。男等の手にはまだナイフと投げ縄が残されているのだった。
 冴子は後ずさりしながら、何時でも逃げ出せる風を装い男たちを自分の方へ引き寄せる。まずは大臣を残した車から男たちをしっかり引き離す必要があったのだ。あと一歩踏み込めば男たちの手が冴子に届くところまで引き寄せておいて、冴子は一気に脱兎のごとく走り出す。当然ながら男たちは下着一枚で逃げ惑おうとする冴子を追って来る。
 冴子は男から距離を開けるとよろけたり、躓いた振りをして再びあと一歩のところまで男たちを引き寄せる。大臣の車から十分離れたと見極めたところで冴子は反撃に転じる。
 スラックスを剥ぎ取られて下着一枚になったことで、男たちは冷静さを失いつつあった。逆に冴子の方はスラックスを穿いていた時より更に脚が自由に動かせるのだった。
 最初にナイフを持った男の手を狙ってナイフを弾き飛ばすと、脚を上げて男の身体を挟み込むと身体を回転させて、その勢いで男の身体を一回転させ地面に叩きつける。

首挟み回転わざ

 頭から地面に叩きつけられた男はすぐにぐったりして動かなくなる。

 最後に男が一人残った時点で、冴子は自分の勝利を確信した。男の手に残っているのは投げ縄一つだけだった。
 男が最後の手段と、投げ縄を冴子に向かって投げてきた時がチャンスだった。その縄を受け取るように冴子は掴むと一気に男を引き寄せる。投げ縄は冴子を捉えるどころか、自ら冴子に捉まる羽目になることに男は気づいていなかった。
 最後に男が縄を捨てて冴子に組み付いてきたところで、冴子はさっと体を躱し、男の腕を捉えて捩じ上げ地面に叩きつける。

saeko

  次へ   先頭へ




ページのトップへ戻る