妄想小説
女敏腕警護官への逆襲
十一
「冴子さん。やっぱり大臣の別宅は冴子さん一人で行ってください。そのほうがくつろげるでしょうから。」
大臣の身代わりになったというので、様子を大臣から訊かれ戻ってきた雄太は冴子に申し出る。
「じゃ、貴方は?」
「大臣からこちらに来る迄の様子を聞きました。やっぱり今回も冴子さんの活躍だったんですね。僕も大臣から心配はされましたが、あまりに僕がぴんぴんしてたもので大したことなかったんだと拍子抜けされたようです。これも冴子さんからの事前のアドバイスがあったおかげですもんね。」
「まあ、そんな謙遜しなくても。ひとつ間違えば爆死だったかもしれないのよ。」
「冴子さんも、あのリムジンなら少々の爆弾テロでもびくともしないって踏んでたんでしょ。僕はこちらに残って会談中も警護の人たちに合流しておきます。まあ、これだけ人数が居れば僕の出番はないかもしれませんが、情報共有の連絡係としての役目は果たせそうなので。」
「そう。わかったわ。じゃ、好きにして。」
「あ、じゃあ警護任務用のオートマチックは僕が預かっておきますよ。」
「え、そう?」
オートマチック拳銃は護衛勤務用で連射も出来、撃ち合いになった際には威力を発するのだが、常時携帯するには重すぎる装備なのだった。
「じゃ、杉本君に預けとくわ。でも代わりに私の護身用のリボルバーは持っていくことにするから、あれを持ってきて。」
「冴子さんたら。相変わらず用心深いですね。今、取って来ます。」
冴子からオートマチック拳銃をホルダー毎預かると冴子から預かっていた護身用のリボルバーを取りに行くのだった。
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