妄想小説
女敏腕警護官への逆襲
四十八
冴子はすぐに自分のリボルバーを奪われ、両手を後ろ手に縛り上げられる。両手の自由が奪われるや否や、冴子は男たちから執念の篭ったしっぺ返しを受けることになる。何も手出しが出来ない冴子の頬を男たちが代わる代わる平手で打ち据えるのだった。
「ふざけやがって、こんな平手打ちだけで済むと思うなよ。」
その言葉は冴子自身が一番感じている恐怖だった。
「済みません、冴子先輩。俺のせいで、あと一歩で全員を制圧して大臣を救えるところだったのに。俺のチンポなんか切り取られて当然のものだったのに・・・。」
すぐ近くの床に転がされている雄太が息も絶え絶えに口にする言葉を冴子はあまり聞いていなかった。雄太の泣き言よりもこの場をどうやって打開して大臣を救うのかが冴子が今、最も考えなければならないことだと思っていたからだ。
やがて地下の監禁部屋に手錠で繋がれていた一色も仲間たちに救出されてやってきた。両手の自由を奪われて何も抵抗出来ない冴子を見ると、髪の毛を掴んで跪かせその顔をいきなり蹴り上げたのだった。冴子は唇の端から血を垂らしながらも一色を見上げて睨みつける。しかし最早冴子には一色に抗う何の術も無いのだった。
「いい事を思いついたぞ。折角、外務大臣と公安の女捜査官を捕虜にしたんだ。これを最大限に利用しない手はないだろう。おい、大臣をここへ連れて来い。」
一色が命令すると男の一人が監禁している大臣を連れに地下へ降りていく。大臣が部屋に連れて来られたところで、部下の男に大臣に拳銃を突き付けながら冴子の方には縛っている縄を解くように命じるのだった。
「いいんですかい、この女の戒めを解いても?」
「ああ、大臣が人質なんだ。こいつも下手な動きは出来まい。」
縄を解かれながらも、冴子も同じことを思っていた。大臣に拳銃が突き付けられている以上は例え両手の自由が解かれたとしても、何の動きも出来ないのは明らかだった。
「それじゃ、女刑事さんよ。裸になって貰おうか。」
一色の非情な命令に冴子は従わざるを得ない。
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