女刑事電話強制

妄想小説


女敏腕警護官への逆襲



 二十三

 「さあて、それじゃお前の部下に電話するんだ。分かってると思うが、言った通りを喋って余計なことは言うんじゃねえぞ。」
 冴子は男に当てられた電話に向かって、杉本を呼び出して男に言われた通りを話すしかなかった。
 「ああ、雄太? よく聞いて。これから私は一色さんと一旦本部へ戻るわ。管理官と今後の対応について話し合いをしなくちゃならないの。貴方にはこちらに残っていて貰うから。母屋の入り口の検問所のところまで出てきてくれる? ・・・。そう、じゃあちらで。」
 ガチャリ。
 「それじゃ行こうか。車の助手席に乗れっ。運転は俺がやるからな。手錠も足枷も嵌めたままだ。それを見られるんじゃないぜ。変なことしたらすぐに撃てるように拳銃は用意しておくので、そのつもりでいるんだな。」
 冴子は連行される犯人のように両手は後ろ手に手錠を掛けられ、足枷の鎖を引き摺るようにして車まで歩かされたのだった。

冴子助手席

 迂闊なことは出来ないのは重々承知だった。男はハンドルを握りながらも消音機付きの拳銃をすぐ手が届く場所に隠していた。下手なことをすれば最初に撃たれるのは雄太のほうだ。手錠も足枷も掛けられたままではそれを阻止しながら男を制圧するのは不可能と悟っていた。
 検問所には既に雄太が出て待っていた。警戒にあたる警官たちも雄太が待っていることで、怪しんでいる様子は全くなかった。
 検問所の前まで来ると、両手が使えない冴子の代わりにパワーウィンドウのボタンを操作して冴子側のウィンドウを半分だけ下げる。冴子は両手が出せないのを不自然に思われないように少し身を乗り出すようにして半分開いた窓の方に顔を寄せる。
 「さっき電話した通り、こちらの一色さんと本部に一旦戻ります。私が居ない間は私に代わって何かあったら警護の指揮を取ってください。場合によってはすぐに戻れない可能性もあるので、その時は貴方の判断で責任者として動いてください。」
 「え、俺でいいんですか。もちろんですとも。俺に任してください。」
 冴子はこっそり雄太に何かシグナルを送れないか必死で頭を巡らせる。ちらっと横の一色の様子を窺うと既に拳銃に手が伸びている様子だった。言葉で伝えるのは無理だと思った。咄嗟に冴子は足枷が見えないようにしながら爪先を立てて膝の位置を高くする。ミニスカートから大きく露わになっている太腿奥の下着がそのせいで裾から覗いて見えてしまっている筈だった。それはミニスカートを穿き慣れている冴子が男性の前では決して見せない仕草だった。

saeko

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