冴子蹴り上げ

妄想小説


女敏腕警護官への逆襲



 六

 冴子の回し蹴りが後方から掴み掛かろうとしていた男の顎に炸裂する。男は吹っ飛んで地面に崩れ落ちる。
 (あと二人か・・・。)
 「こ、こいつ・・・。なかなか手強いぞ。」
 男たちは女一人だと思って舐めてかかったのを後悔し始めている風だった。そのうちの一人が何時の間にか縄を取り出していた。もう一人の男はナイフを取り出している。その男が手にしたナイフを真っ直ぐに冴子に向けて突き出してきた。咄嗟に身を交わした冴子は今度は足の先でナイフを振り落とそうと蹴り上げる。その時、もう一人の男が投げた縄の輪が冴子の片手に絡みついた。

投げ縄腕取られ

 「うっ、しまった。」
 ナイフの突きは冴子の注意をそちらに振り向けて腕に縄を掛けるカムフラージュだったのだ。男がさっと縄を引くと、冴子の手首に絡まった縄の輪がするするっと縮まって手首から抜けなくなってしまう。途端に形勢が冴子には不利になってしまう。一人だけならたとえ縄で片手の自由を奪われても、逆に縄を手繰り寄せながら相手に攻撃を加えることが出来る。縄さえなければ男二人ぐらいを倒すのは冴子には訳のないことだった。しかし片手を縄で引かれて自由を奪われると男二人の両方に対し注意を振り撒かねばならない。ナイフを蹴り落とそうとしても縄で引かれて邪魔をされてしまうし、縄を解こうと両手を使うとナイフを持った男に隙を与えてしまうことになるのだ。
 (まずいわ・・・。)
 縄を持った男がぐいっと力を篭めて引き絞る。それにバランスを崩されないように冴子も必死で縄を引く。その時、ナイフを持った男が同時に突っ込んでくる。バランスを崩しながらも冴子は回し蹴りでそのナイフを蹴り飛ばす。しかし同時に縄を持っていた男のほうが縄を手放したので、思わず冴子もよろけてしまう。そこを縄を手放した男の方から背中側から組みつかれてしまう。

saeko

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