妄想小説
女敏腕警護官への逆襲
二十
「こんな格好にさせて、まだ私に何かさせようと言うつもり?」
「ふふふ。察しがいいな。お前に煮え湯を吞まされた奴等はまだ居るんでな。」
「まだ居る・・・? 最初に襲ってきた連中のこと?」
警護官が女だと知って、舐めてかかって冴子に散々痛めつけられて追い返されたこの男の子分等のことを言っているらしかった。
「ああ、奴等にも少しは溜飲を下げさせてやらんとな。」
「こ、こんな格好の私を奴等に引き渡そうというつもり・・・?」
さすがの冴子も顔が蒼褪める。両手、両脚の自由を奪われた格好で互角に戦える筈はない。いや、互角どころか彼らの好き放題にされてしまうのは必至だった。
「こんな裸のまま、私をここから連れ出そうというの?」
男は全裸で拘束されている冴子の身体を舐めるように見返しながら暫く思案する。
「そうだな。それも出来なくはないが、外で検問とかにあうと面倒だな。それに奴等も最初から裸じゃ面白味も半減するだろうからな。」
「面白味・・・?」
「服を脱がす楽しみを奪っちゃ悪いからって意味さ。」
(服を脱がす楽しみ・・・? 何て卑劣な考えなの。)
冴子はしかし黙って男を睨みつけるだけにした。
「それじゃ、服を着させてやろう。しかしその隙に反撃に出ようなんて考えても無駄だぜ。じゃ、まず足枷の鎖とこの鎖をその錠前で繋ぐんだ。後ろ手の手錠のままでもそのくらいは出来るだろう。」
服を着るには一旦後ろ手の手錠を外すしかない。男は手錠を外す前に冴子が自由に身動き出来ないように鎖で繋いでおくつもりらしかった。仕方なく冴子が男が投げて寄越した鎖の束と錠前を後ろ手のまま手探りで拾い上げ腰を屈めて足枷を鎖に錠前で繋ぐ。
「よおし。これで手錠を外しても動き回れまい。ほら、手錠と首輪の鍵を渡すから自分で外すんだな。」
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