妄想小説
女敏腕警護官への逆襲
二十五
車を降ろされた冴子は足枷の鎖を引き摺って車の後方に歩かされる。
「こっからはこの中だ。ちっと狭いが我慢して貰おうか。」
男は冴子に身体を折り曲げさせて無理やり車のトランクルームに押し込む。バタンと大きな音を立ててトランクが閉められると冴子はもう身動きも出来ない。
男はすぐに車をスタートさせる。急に男の運転が乱暴になったようだった。いきなり急ハンドルを切って車を回転させるので、その度に冴子は頭や腰をトランクルームの壁にぶち当てられる。冴子の方向感覚を失わせて、何処へ向かっているのか分からなくさせる為のようだった。
最後に車は大きな音を立てて急ブレーキで止められ同時に後輪をドリフトで回転させたので、冴子はまた思いっきり頭と腰をトランクルームの壁に激突させられた。
「さ、着いたぜ。」
男が降りてきてトランクを開けたのがアイマスクの端から洩れる光でかろうじて分かる。冴子は自分の首の辺りに何かが当てられカチンと音を立てたのを感じ取る。その次の瞬間に首が思いっきり引かれる。
(首輪に縄を繋いだのね・・・。)
「早くそこから出るんだ。」
「そ、そんな・・・。両手を縛られて目隠しまでされてるのよ。うっ、そんなに引っ張らないでっ。」
仕方なく冴子は手を使えないまま、腹這いの格好でトランクの外に向けて大きく開いた脚を出す。下着は丸見えになっているに違いなかったが、そうするしかトランクから這い出ることは出来なさそうだった。
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