痒み悶え

妄想小説


潜入捜査官 冴子 第二部



 四十六

 痒みは夜半前にやってきた。猛烈な痒みが冴子の股間を襲う。しかしその股間は赤い褌でしっかり締め付けられその上に赤い腰巻まで巻かれてしまっていた。
 冴子はもう一度身を捩って、何とか縄が外せないかもがいてみるが、しっかり手首に食い込んだ縄は冴子にはどうにもならない。気が狂いそうになる痒みに冴子は声を挙げてしまう。
 「ああ、誰かっ・・・。助けてっ。」
 その時、マサとジローが見張り番をしている筈の廊下側とは反対側の襖がすうーっと開いたのだった。
 「あ、貴方は・・・。」
 以前に倫子から秘所への洗濯バサミ責めを受けていた時にそれを外してくれた若者だった。
 「確か、猿蔵って。」
 廊下の外に居る筈のマサやジローたちに聞こえないように小声で話し掛ける冴子だった。見ると水を張った手桶を手にしている。猿蔵が走り寄ると素早く冴子の腰の湯文字を外し赤い褌を緩める。そして股間の張型を抜き取ったのだった。
 「もう少し我慢しててください。」
 猿蔵はそう言うと持ってきた手桶に手拭を浸し、軽く絞ってから緩んだ褌の股布を横にずらしながら股間に当てる。
 「少し痛いかもしれませんが我慢してください。」
 そう言いながら陰唇の内側を濡れた手拭で拭取るのだった。猿蔵の手が陰唇の中をなぞるだけで冴子は股間の痒みが癒されていくのを感じる。
 「ああ、いいわ。ああ・・・、助かった。」
 一通り陰唇を拭き終えると、今度は抜き取った張型を手桶の水に浸して外側を綺麗に拭い取る。
 「これは元に戻さないと彼等に気づかれてしまいます。済みませんが褌も締め直します。」
 「ああ、いいのよ。それだけで随分楽になったわ。どうして?」
 「前に純子さんて方が同じ目に遭っていたのでその時も助けたのです。縄を解いてあげることは出来ませんが、せめて痒み責めだけからは救って差し上げたいのです。」
 「いいのよ。それで充分。縄を解いたりしたら貴方の方が彼等に殺されてしまうわ。純子もこうやって救ってあげたの?」
 「純子さんには優しくして貰いましたから。貴方には・・・。その、この前・・・、俺のあれを咥えてくれたので。何かお返しがしたかったのです。」
 「もういいわ。褌と腰巻を元に戻して。彼らが戻ってきてしまうわ。そうだ。猿蔵っ。アンシャンテに藤崎って人が居る筈なの。その人に私の事、伝えてくれない?」
 「藤崎さんですね。わかりました。では私はこれで。」
 冴子の褌と腰巻を締め直すと、手桶を持ってさっと猿蔵は奥の間の方へ消えたのだった。

 「おとなしくしてるかい? 姐さんの薬は堪えたろう。」
 突然座敷に入ってきたジローとマサの言葉に冴子ははっとなって、痒みに苦しんでいる様子を装いながら腰を捩って悶えてみせる。
 「ああ、あそこが堪らないの。何とか・・・、してっ。」
 「へへへ。痒いのか。我慢出来ないか。」
 「ああ、意地悪っ。くくっ・・・。」
 「この指でもみもみして痒みを癒してやりたいところだが、若頭からお前の身体に触れちゃならねえってきついお達しがあるんでな。」
 「そうだ。直接、触らなきゃいいんじゃないか。ほれ、あの竹刀を使えばいいだろ。」
 「そいつぁいい考えだぜ。竹刀の先で小突くぐらいなら触ってないんだからいいかもな。」
 そう言うと一旦部屋を出たマサが何処からか竹刀を持ってくる。

saeko

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