妄想小説
深夜病棟
五
看護師が出て行ってすぐ部屋の明りや、廊下の灯りも落されたようだった。暫く携帯ラジオをイアホンで聞いていた樫山だったが、眠れるかどうか試してみようとラジオを消してみる。深夜の病棟は誰も居ないかのように静まり返っていた。
目を瞑ってみると、その日、自分の担当だった看護師の顔が浮かんでくる。そしてすぐに少し前に見てしまったパンティラインがくっきりと浮き出た看護師のお尻を思い出してしまうのだった。レンタルのパジャマがきつく感じられて下穿きごと腿のあたりまでずり下げてみる。途端にペニスの頭がピクンと上を向いてしまう。
(あの看護師、神藤茉優って言ったっけ。体温計を取る時に手の先が腿に触れてしまったのに気づかない振りをしていた。あれはわざとだろうか・・・。)
そんな事を考えているだけで、樫山のペニスはどんどん硬く大きくなっていく。
「樫山さん、もうお休みですか?」
カーテンをそっと潜った看護師の茉優は、手にしたペンライトの灯りを患者に向けないように注意しながらベッドの上の樫山の様子を窺う。
「点滴の滴下状態をチェックに来ました。失礼しま~すぅ。」
ベッドサイドに近寄るが、樫山は規則正しい寝息を静かにたてている。ベッド脇のテーブルの上に使用済の睡眠導入剤のパックが置かれているのを見て、寝てしまっているのだと茉優は判断した。滴下は若干遅めになっている。点滴チューブの接合部は毛布の中に入ってしまっている。チューブが身体の下になって潰されてしまっている可能性があるとあると思った茉優はペンライトを横に置いてそっと毛布をめくる。
「ちょっと失礼しますね。」
チューブを手探りで捜しながら毛布の中に手を突っ込んだ茉優の指先に何かが触れた。
(あっ・・・。)
思わず声を立てそうになって慌てて手を引っ込める。患者の身体に触れないようにと思ってわざと少し上の方から探ろうとしたつもりだったのに、患者の身体の一部に触れてしまったのだった。そしてそれが何だったのかをすぐに茉優は悟っていた。
(勃起しているのだわ・・・。)
患者を起さないようにと灯りを当てなかった為に毛布のその部分が持ち上がっているのに気づかなかったのだ。一旦引っ込めた手を、再び伸ばしてそっと毛布をめくってみる。ペンライトから洩れている灯りで、患者がパジャマのズボンと下穿きを腿のところまで下しているのがわかる。しかし患者は寝息を立てたままで眠り込んでいる。
チューブは潰されてはいないことを確認すると、点滴のビュレットを調整して少しだけ滴下スピードを上げる。
(これでよしっと・・・。)
すぐに立ち去ろうとした茉優だったが、気になって患者の顔近くに頭を寄せてみる。相変わらず規則正しい寝息を続けている。
(睡眠導入剤がよく効いているみたいね。)
そう思った茉優の目にペンライトから洩れる微かな灯りで毛布のあの部分がまだ持ち上がっているのがみてとれる。思いもしなかった事に狼狽して理性を失っていたのだと茉優は後で思い返すのだが、その時は自分の衝動が抑えきれなかった。
(ぐっすり眠っているから大丈夫。)
そう自分に言い聞かせてそっと毛布の中に再び手を突っ込む。
(なんて太くて、硬いのっ・・・。)
優しく包み込むように握った茉優の手の中で、そのモノは誇らしげに屹立したままだった。生温かさが血の通う男の肉体の一部なのだということを茉優に思い知らせる。その瞬間に茉優は自分の身体の中心部分がかあっと熱くなるように感じた。
(いけないわ、こんな事・・・。)
ふっと我に返ると、そっと手を放しベッドから離れる。
(おやすみなさい、樫山さん。)
音を立てないように細心の注意を払いながら病室のカーテンを潜る茉優だった。
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