妄想小説
深夜病棟
二十六
「樫山さ~ん。起きてますかぁ?」
カーテンを音を立てないように潜った茉優は声を少し潜めて声を掛けてみる。消灯後の11時過ぎの薄暗い病棟でペンライトだけの灯りを頼りに点滴の滴下状態のチェックに来た茉優は、樫山が規則的なゆったりとした寝息しか立てていないのを確認する。ベッド脇のテーブルの上には、空になった睡眠導入剤のパックが水差しの脇に落ちている。
手早く滴下状態をチェックした茉優は、どうしても誘惑に勝てずに眠っている患者の毛布をそおっとめくってみる。めくり上げる前からあの部分は心なしかこんもりしているように見えたのだったが、ペンライトを毛布の下に当てると見事に屹立したモノが天を突くように上向いているのが見えた。それを見て、茉優は思わず生唾を呑み込んでしまう。もう一度、患者の口元に顔を近づけてみて寝息を再度確認してみる。
(睡眠導入剤がしっかり効いているみたいね。)
再び少しめくり上げた毛布のその部分に戻ると、ゆっくりと手を伸ばす。
(大丈夫。眠っているんだから・・・。ああ、太いっ。)
茉優は自分の身体の中心が前の時のように熱くなってくるのを感じていた。
(ああ、凄いっ。欲しいわ・・・。)
茉優は己の欲望に抗しきれず、遂に毛布の下の屹立したそのモノをぎゅっと握ってしまう。その途端に茉優は自分の下半身に何かがジュッという音を立てたかのように漏れ出したのを感じていた。
(いけないわ。)
そう茉優自身思いながら、その掌に包み込んだ太くて硬い大きなモノに自分の顔を近づけていくのを拒み切れなかった。
(ああ、赦してっ・・・。)
茉優は無意識のうちに唇から舌を出して、その大きなモノの裏側を下から舐め上げていた。
その時、じっとしていた眠っている筈の患者の手が、屹立した太いモノを握りしめている茉優の手を更に上から抑え込んだのだ。
(えっ? 起きているの?)
一瞬、声になりそうだったのを必死で抑え込んだ茉優だった。男の手は、男性自身を握りしめている茉優の手を外側からがっしりと掴んで離さなかった。しかし男はその手以外は微塵も動いてはいない様子だった。寝息も幾分荒くなった風だが、相変わらず規則的な呼吸を続けている。
「ううっ・・・。」
患者の口から呻き声のような溜息が洩れた。夢の中で叫んでいるようにも見える。患者の手に力が篭められる。それに呼応するかのように茉優は男根を握った手に力を篭める。その握ったモノが呼応して更に大きく反り返ったように感じられた。
(あ、出てしまう・・・。)
本能的にそう感じた茉優は自由な方の手で、ナース服のポケットを探りハンカチを取り出すと屹立したそのモノの上に被せる。そのモノが暴発したのはほぼ同時だった。
「ううっ・・・。」
眠っている筈の患者の口から呻き声が洩れてきた。茉優はハンカチで抑えたものが垂れないようにさっと抑えて拭い取る。茉優の手を抑えていた患者の手の力が緩んできた。もう一度全部を拭い取るように先端からハンカチで絡め取るようにすると、そのモノを放しハンカチをポケットに収めると患者を起さないようにそおっと立上ったのだった。
(おやすみなさい、樫山さん。)
茉優はそう挨拶を心の中で告げるとその場をそっと立ち去ったのだった。
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