昏睡フェラ

妄想小説

深夜病棟


 三十

 「あ、茉優ちゃん。貴方に速達が来てるわよ。」
 寮の自分の部屋で仮眠を採った茉優が食堂に降りてきたところへ寮母のおばさんが声を掛ける。
 「はい、これっ。」
 寮母が渡してきたのは茶色の薄い封筒だった。よくみると茉優が勤めている病院の事務用の封筒だった。
 「何かしら・・・。」
 何となく嫌な予感がして、茉優は自分の部屋へ戻ってから封筒を開けてみる。中から出て来たのは折り畳んだ一枚の紙で、パソコンから画像を印刷したもののようだった。
 開いてみて、茉優は真っ青になる。それはポルノグラフィーの類で、肩の辺りまで肌を露わにした女性が男性のアレを咥えているというものだった。目は瞑っているが明らかにそれは茉優自身だった。眠っているところにアレを突き当てられているようにも見えるが、自分から咥えて恍惚の表情をしているようにも見えなくもない。
 (あの夜だわ。)
 こんなものが存在するとすれば、記憶が無いあの池田のマンションで目覚めた日の事に違いなかった。
 裏を引っ繰り返すと「xx月xx日夜10時 xx町のバー・カサブランカで待つ」とだけ記されていて宛名もない。しかし、それは脳神経外科の池田に違いなかった。バー・カサブランカはあの夜、茉優が酔い潰れた店に他ならないからだ。
 茉優はその呼出しを無視する訳にはゆかないと悟った。こんな写真があるからには、他にどんなものがあるか知れないのだ。それを問い質しておかねばならない。いや、問い質すだけでなく何としてでも取り返さねばならないと自分に言い聞かせるのだった。

茉優

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