股間抑え

妄想小説

深夜病棟


 三十八

 夜間の看護師の仕事は時間の経過と共に次々にやってくる。脳神経外科と違ってひとつひとつの仕事は単純で少ないがその分一人で多くの患者をこなさねばならないのだ。その一番多い仕事が時間ごとに病棟を廻って点滴の滴下をチェックしたり、交換したりする作業だ。その為に病棟を何度も廻らねばならない。
 茉優の股間に埋め込まれたものは、普通に歩こうとしているのだがどうしても違和感から脚ががに股状に開いてしまう。一歩踏み出すごとにその埋め込まれたものが動いてそれでなくても敏感なあの部分の粘膜を刺激するのだ。茉優は廊下に誰も居ないと判ると、手で股間を抑えながらやっとのことで歩くのだった。そしてそれをするうちに池田の卑劣な企みに漸く気づいたのだ。
 股間のモノはどうしても膀胱に直接刺激を与え、尿意を確実に増させてしまうのだ。茉優は明け方近くまでは、それでも何とか耐え忍んできた。しかしいよいよ我慢の限界に近くなり、再び当直室を訪ねて、池田に何とかしてくれるよう頼み込むしかないところまで追い込まれてしまった。
 トントン。
 「池田先生、起きてらっしゃいますか。神藤です。」
 返事を聞く前に茉優は当直室の扉を開けていた。
 「池田先生、お願いです・・・。」
 「ううん、何だ。うるさいっ。もうちょっと寝かしてくれっ。」
 「そう仰らずにお願いします。」
 池田は眠り込んでいる訳ではなかった。その振りをしているだけで、さっきから何時茉優がやって来るかと心待ちに待っていたのだ。
 「ううむ。何だ。こんな時間に。」
 池田は仮眠ベッドに横になったまま茉優のほうに顔もあげずに呟く。
 「あの・・・。」
 その先がなかなか言えなかった。
 「お・・・、おしっこが・・・、おしっこがしたいのです。あれを外しても宜しいでしょうか?」
 「何だと? 何がしたいって?」
 池田は態と寝惚け眼を装って、とぼけてみせる。
 「ああ、もう洩れそうなのです。おトイレにゆかせてください。」
 「トイレだったら勝手にゆけばいいだろ。」
 「でも、あれが・・・。あれを外さないと出来ません。どうか、お赦しを。」
 茉優が身体をわなわな震わせて懇願するのを薄目で見て、池田は漸く身体を起す。
 「だったら病人用の尿瓶を持ってくるのだ。早くしろっ。」
 「え? 尿瓶・・・ですか?」
 茉優には考えている余裕はなかった。股間を抑えながら何とか備品室まで摺り足で辿り着くと、ガラス容器を抱えて戻ってくる。当直室に入ると池田は既にソファに腰掛けていた。その座った池田の真ん前の床に額縁が置かれている。
 「その額の上に尿瓶を載せるんだ。」
 「え? でも・・・。わ、わかりました。」
 茉優がおそるおそる額に近づいて、その上に尿瓶を降ろそうとする。その時、茉優は池田の卑劣な企みを知ったのだ。額に入っていたのは嘗ての恋人、浅野涼馬の顔写真だったのだ。

浅野医師

 「こ、これは・・・。」
 「その股間のものを剥してやるからワンピースを上へ捲り上げるんだ。」
 「で、でも・・・。」
 「何だ。したくないのか?」
 「いえ、もう洩れそうなのです。」
 「だったら早くするんだな。」
 茉優は募る尿意には勝てず、仕方なく看護服のワンピースの裾を前から両手で捲り上げる。その下からT字型に貼りつけられた褌さながらのガムテープが露出する。
 ビリッ。
 池田が茉優の下腹に手をあてて無造作にそのガムテープの端を引っ張る。
 「痛っ。済みません。もっとそおっとお願いします。」
 「何、そおっとだと? ふん。こおしてやるっ。」
 ビリビリッ。
 大きな音を立ててガムテープが剥されると、一緒に茉優の陰毛も剥されていく。
 「痛たたっ・・・。」
 股間の痛みを堪えようとして、つい括約筋の力が緩んでしまい、茉優の太腿の内側をつうっと一滴が流れ落ちる。
 「あっ、いけない。」
 後先考えずに茉優は慌ててガムテープが剥されてむき出しになった陰唇からバイブを引き抜くと尿瓶の開口部に陰唇を当てる。そこからゆばりが迸り出るのは殆ど同時だった。

茉優

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