妄想小説
深夜病棟
四十一
部屋に入ると、池田はソファーセットの上にどっかと腰を下ろす。茉優は何処に居たらいいのか判らず、部屋の中央に池田を前にして立っているしかなかった。
「ほれっ。」
池田はソファーに載せていたらしい縄の束を突っ立っている茉優の胸に向けて投げつける。縄の束は茉優の胸を直撃した後、ポトリと床に落ちる。
「それが何だか分かるよな。」
以前、連れ込まれた朝、茉優の手首に巻かれていたものだった。
「あの・・・。」
どう答えていいか茉優はわからなかった。
「もう背中の手を離してもいいぞ。何をするものか、わかったら俺にお願いするんだ。」
「お願いって・・・。え? ・・・。」
茉優は腰を屈めて床から縄の束を取り上げる。
「し・・・、縛って・・・。私を縛って・・・ください。」
やっとそう言った。自分から言わされる屈辱に懸命に堪える。
「ほう、縛って欲しいのか。ならばもう一度背中に手を回してもう一度お願いしてみろ。」
茉優は池田の卑劣なやり方に怒りも覚えながら、縄の束を手に池田に背を向ける。
「ああっ。」
手首に巻かれる縄の感触を感じると、茉優は思わず声を挙げてしまう。両手がきつく背中で括り上げられると、池田は茉優の髪を掴んで、傍のキッチンテーブルに頭を付けさせる。後ろに回り込んだ池田の目の前には短いワンピースの裾がずり上がって裸の尻が今にも覗きそうになっている筈だった。
「ゆうべの続きをしてやる。自分で裾を捲り上げろ。」
ゆうべの続きと言われて、茉優は卓球のラケットによる打擲をすぐに思い出す。テーブルに頭を付けたまま背後を窺うと、既に池田の手には将に卓球用のラケットが握られていたのだった。
「罰を受けるんだ、茉優っ。」
池田が大きくラケットを振り上げた。
パシーン。
「あうっ・・・。」
池田の打擲は情け容赦なかった。
パシーン。
「あぐっ。」
パシーン。
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