妄想小説
深夜病棟
二十四
「はい、じゃあ点滴外しますね。」
点滴の終了に伴い接合部でチューブを外して腕の注射針から接合部まで伸びている方を丸く纏めると絆創膏で腕に貼り付ける。点滴中は横になっていた方が滴下のスピードが遅くならないと注意を受けていて、脱着作業中もずっと横たわっていたので、看護師の亜里沙はベッドサイドに腰を屈めていた。亜里沙の身に着けているナース服は裾が相当短いので立て膝になった格好は裾の奥が見えそうで気になって仕方がない琢也だった。
「それじゃあ、シャワーが出来ないのでホットタオルで身体を拭きますね。上半身、裸になっててください。」
そう言いながら亜里沙は中途半間に開いていたカーテンをきちっと閉める。琢己がパジャマの上着を脱いでベッド上で身を起していると、亜里沙が電子レンジで温めてきたらしいビニルパックに入った不織布で出来たホットタオルの封を切って琢己の背中を拭き出した。
「へえ、ホットタオルって今、こんなのになっているんですね。」
「そう。昔は本当のタオルを熱湯に浸して持ってきたんですけど、今は衛生上の問題もあって何処の病院もこういうの、使っているんですよ。」
「なるほどね。これなら使い捨てで衛生的ですね。」
「えーっと、前の方は自分で出来ますか?」
「あ、前はやってくれないんだ。」
「一応、身体が動かない人を除いては患者さんにやって貰ってるんですけど。やって欲しそうですね。いいですよ。サービスでやってあげます。えーっと、腕を持ち上げて腋を開いてください。」
そう言うと、亜里沙は背中側から琢也の胸側にホットタオルを持った手を伸ばしてきた。
「ああ、とても気持ちがいい。さっぱりします。さすがに下半身は駄目ですよね。」
「まあ、甘えちゃって。勿論、駄目なんですけど・・・。」
亜里沙はそう言いながらカーテンがきちっと閉まっているか目線を上げて確かめると、琢也の耳元でそっと囁く。
「あそこを今すぐ大きく出来たら、してあげてもいいわよ。」
「え? じつは・・・、もう大きくなっちゃってるんです。」
「ほんと?」
亜里沙は(冗談で言ったのに)というような顔をしながら琢也が下半身に掛けている毛布をそっとめくってみて、声を挙げる。
「まあ、ほんと・・・。仕方ないわね。これ、内緒よ。誰にも言っちゃ駄目よ。」
そう言うと、亜里沙は一旦ベッドから身を起して琢己の方に向き直る。
「そのまま横になっちゃってください。その方がやり易いから。声は出さないでね。」
小声で囁くようにそう言うと毛布をずらして、琢也が既に膝までパジャマとトランクスを下してしまっている下半身に向き合う。
「凄いっ・・・。」
既に完全に勃起している琢也のモノは、毛布の束縛を逃れるとピンと上を向いて立上る。亜里沙はその屹立したもののカリの部分を片方の手で親指と人差し指で輪を作るようにして掴むと、もう片方のホットタオルを持った手で付け根のほうから撫で上げる。
「うっ・・・。」
気持ちよさに思わず声が出そうになると、亜里沙が(しっ)と人差し指を立てて口に当てる。
「実は私、看護学校に行ってる時にこの手のバイトをしてて慣れてるのよ。男の人のもいっぱい見て来ているの。その中で言っても立派なモノよ、これは。」
そう言いながらペニスの周りをタオルを絞りこむようにして擦り上げる。ペニスを拭き終えると、今度は棹の中央部分を掌にぎゅっと握ると、持ち上げるようにして陰嚢から会陰部を拭いていく。
「ああっ・・・。」
「気持ちいい? 出そうなの? いいわよ、出しても。溜めておくと、身体に悪いっていうから。ずっと出してないんでしょ。すっきりしちゃいなさいな。」
琢也が思いも掛けなかった言葉をすらすらっと発すると、亜里沙は棹を上下に激しく扱き始める。
「あっ、ああっ・・・。」
琢也がいきそうになる直前に亜里沙はさっとホットタオルを棹の先に当てて飛沫が飛び散らないように受け止める。
「いい事? この事は絶対、内緒よ。ばれたら首になっちゃうから。ねっ。」
次第に萎えていく琢也のものをやさしく拭き終えると、亜里沙はあっと言う間に姿を消したのだった。独り残された琢也は、久々の放出に心地の良いけだるさを憶えつつも、今起きたことが夢なのか現実の事なのか、狐につままれたような思いを抱きながら亜里沙の顔を思い返していた。
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