妄想小説
走る女 第一部
四十五
公園の隅でトレンチコートを脱ぐと、夜の闇の中からナトリウム灯に照らされた公園の広場を全裸になって走り抜けるのだった。
(お願い、早くちゃんと撮って。顔は写さないで・・・。)
そう願いながら股間も揺れる乳房も隠すことなく、ただ必死で夜の公園を走り抜けたのだった。
三夜、全裸疾走を続けたところで昼間、莉緒に注目しているギャラリーは見る見る間に減っていった。それは莉緒がミニスカートではなく普通のランニングパンツに戻したせいなのか、今までいたギャラリーが夜の公園に全裸疾走の女を見に移っていったせいなのかは莉緒には最後まで分からない。ただ、莉緒には知らされていなかったが、管理人室の蛭田の抽斗の中には全裸で駆け抜ける莉緒の姿が顔がばっちり写ったものがしっかりと保管されていたのだった。
第一部 完
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