妄想小説
走る女 第一部
三十九
「菱縛りとか亀甲縛りって言うんだ。」
両手首を背中で縛ってしまうと、別の縄を首から前に垂らし、乳房の中心で結び目を作ってからその先を背中側に回す。みるみるうちに莉緒は裸の乳房を絞り出すような形で上半身を縄で縛りあげられていく。
「やっぱり縛られると感じてくるんだね。ほら、乳首がこんなに立っている。」
夫に指摘されるまで莉緒は自分でも気づいていなかったが、確かに乳首が硬く尖ってきている。と同時に身体の芯の方で、何か熱いものが流れ始めているような気がしてくる。
「あそこも濡れてきてるんじゃないか。」
そう言いながらトオルの手が下半身の方へ伸びてくる。
「あ、駄目よ。そっちは。お願い、やめてっ。」
「大丈夫だよ。少しぐらい汚れたって構わないさ。沁みがついたら洗濯すればいいし、取れなければ新しいの買ってやるよ。」
「駄目っ、絶対。嫌なの。それだけはしないで。ね、そうだ。」
莉緒は男に事前に仕込まれていた最後の切り札を口にすることにした。
「もうすぐ綺麗に終わるから。ね、それまで待って。綺麗に終わったら、あそこの毛、貴方に剃り落させてあげるから。」
「え、あそこの毛を剃る?」
「そ、そうよ。あそこの割れ目の周りをつるつるにしてしまうの。見たいでしょ?」
トオルが喉をゴクンと鳴らすのが莉緒にはわかった。
「いいのかい、ほんとうに。あそこ、剃らせてくれるんだね。」
目の前で夫はその姿を想像したらしく、新たな興奮を呼び覚ましたようだった。
「わかった。じゃ、今は我慢しよう。その代り、フェラチオの前にお前の乳首、吸わせてくれ。」
「ああ、お願い。強く吸ってっ。」
莉緒も身体を仰け反らせて夫が乳首に吸い付いてくるのを待ち受けるのだった。
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