グランド乳房晒し

妄想小説


走る女 第一部



 十一

 誰も見ていないことを確かめてから前日と同じ様にゲートを擦り抜け真っ直ぐグランドの真ん中に向かう。今度はもう躊躇はなかった。タンクトップをたくし上げてノーブラの乳房を晒すと、今度はショーツを穿いてないたった一枚のトランクスに手を掛けたのだった。
 タンクトップを挙げて乳房を晒し、トランクスを下げて股間を晒した状態で命じられた一分間を過ごしてから逃げるようにグランドを出た莉緒はゴミ入れ籠に寄って、再び丸めた紙を取り上げる。
 <やっと命令に従う気になったようだな。明日からも命令の指示はここでするのでランニングには何時もの時間に来る事。ショーツとブラは着けるのは許してやる>
 今日したことで解放された訳ではない事で落胆したのだったが、取り敢えずブラとショーツは着ける事を許されたことがせめてもの救いだと感じた莉緒なのだった。

 家に戻った莉緒は翌日からランニングウェアの下にブラとショーツを着けていいと許されてちょっとほっとしていた。しかしそれでも言い付けに従ってランニングをサボることは出来ないのだ。またどんな新しい命令を下されるかも判らなかった。
 ブラとショーツを着けられるという安心感が莉緒に少し冷静さを取り戻させていた。
 (一体、誰が私にあんなことを仕掛けたのだろう・・・。)
 ただ市営総合グランドの外を走っているだけで、誰かに恨みを買うようなことがあるとは思えなかった。
 (自分のウェアがちょっと刺激的過ぎるのだろうか。)
 莉緒がランニング練習に使っている総合グランドを散歩やジョギングで使っている人は圧倒的に老人が多い。その殆どは地味な私服かジャージ姿だ。
 (私も、もう少しおとなし目のウェアにしたほうがいいのかしら。)
 莉緒は自分を脅している者が、自分の露出が多いウェアと露出された肢体に嫉妬感から懲らしめをしようとしているのではと考えてみた。しかし自分が受けた命令の中に<いつもの格好で>と指定してきたこと、トランクスの下はノーパンにするよう命じたことから、露出を批判している訳ではない。むしろ、余計に露出させようとしているのだと思い返した。
 (グランドでノーパン、ノーブラの自分の裸を晒させたのは、そういう性癖なのかもしれない。)
 そう思うと、何となく人物像が浮かんでくるのだった。その時ふと、ある考えが閃く。
 (あの時、どうしてグランド内に入るゲートの鍵が開いていたのだろう・・・。グランドの鍵を自由に扱える人物・・・?)
 そこまで考えてグランドの管理人のことが頭に浮かぶ。
 (そうだ。最初に走り始めた頃、管理人らしき男にランニングウェアのトランクスの奥を覗かれていたのだったわ。あのいやらしそうな目付き・・・。)
 莉緒はその時の男の目付きを思い出して、背筋がぞっとするのを感じた。
 (そう言えば、ノーパンで走らされていた時、管理人の横をすり抜けようとして何かに躓いて転んだのだった。あの時男が持っていた長い柄のモップ・・・。まさか、あれで足を引っ掛けさせられたのでは・・・。)
 だんだんと浮かんでくる疑惑が、次第に確信に変わってゆくのだった。
 (確かめてみなくては。)
 莉緒はひとつの決意を固めていた。それはグランドの管理人室に忍び込むことだ。何かの証拠が掴めるかもしれないと思ったのだ。管理人室はグランド側と周回路で隔てられたすぐ向いに建っている。夜間は施錠されている筈なので、忍び込むとすれば莉緒が何時もランニングをしている9時から10時頃より前の管理人が外の掃除に出る時間帯だと思った。それでランニングをしにきたと何時でも言えるようにウェアのままの格好で少し早目にグランドに行って様子を窺うことにしたのだった。

莉緒

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