妄想小説
走る女 第一部
三十二
管理人室の近くまでいつもよりずっと抑えたペースで走ってきた莉緒は既に外に蛭田が立っているのを認める。スローダウンしながら近づいていくと好男は顎でいつもと違う場所を指し示す。それはスタンド中央の国旗掲揚台の下辺りにあたる場所で半地下のようになった放送席のある場所だった。ガラスのスイングドアの向うに放送席などの扉が幾つか並んでいるのだが、いつもは施錠をされている場所なので入ってことはなかった。
莉緒が階段を降りてガラスのスイングドアを押すと、蛭田が既に施錠を解いていたらしく難なくドアは開いた。放送席の脇に廊下が続いている。外からは死角になるその物陰に立つよう指示される。
「今日はどこをまさぐって欲しいんだ?」
好男がいきなりそう聞くので、莉緒はランニングウェアの裾を捲り上げる。
「揉むんだったら、おっぱいを存分にどうぞ。」
もうどう蹂躙されても構わない覚悟だった。
「おや、自分から胸をはだけるとは、触って欲しくないところがあるみたいだな。」
「えっ?」
好男の言葉に思わずぎくりとする莉緒だった。
「縛ってやるから後ろを向け。」
莉緒が答える前に肩を掴んで壁を向かされる。
乱暴に手首を掴むと、あっと言う間に両手首を後ろ手に縛られてしまう。
「旦那には昨夜は縛って貰えなかったんだろ。その代りだ。さあ、あっちだ。」
男が廊下の先を指し示すので先に立って歩かされる。二つ目の扉の先はシャワー室になっていた。シャワーヘッドと蛇口が並んだ中の一つの蛇口に莉緒を縛っている縄の端が括り付けられてしまう。
「あれが来たんだろ?」
そう言って好男は股間に手を伸ばす。両手を蛇口に括り付けられているので莉緒には防ぐことが出来ない。
「あ、いやっ。駄目です。」
ごわっとした感触がランニングパンツの上からでも下に何があるか男には分かってしまう。
「生理が来てしまったんです。ですから・・・。」
莉緒が言い訳をしようとする前に、男は一気にランニングパンツをショーツごと引き降ろしてしまう。
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