妄想小説
走る女 第一部
三十七
唇を合わせたまま、トオルがズボンのベルトを緩め、ズボンのチャックを下ろしたのが分かると、莉緒はそのまま膝を床について剥き出しになった夫のブリーフの既に硬く膨らんできているふくらみに頬を寄せる。
最初は膨らんだ部分をそのまま口の中に含めるかのように吸い付き、舌で少し湿してから布の一部を噛んで下に引き下げる。ビクンと解放された男根が天に向かって跳ね上がる。
「凄いわ。」
いつもより更に大きく感じる夫の男根をカリの裏側から一度舐め上げてからすぼめた唇の先で吸い上げるように先端部に口づけをしてから一気に咥えこむ。
チュパッ・・・。チュパッ・・・。卑猥な音がリビングに響き渡る。
気持ちよさにソファの上に仰け反ったトオルにのしかかるようにしてペニスを咥えたまま顔をうずめ込む。
最後はこの夜も夫は莉緒の口の中で果てた。呻き声をあげてふうっと大きな溜息を吐いて余韻を愉しんでいる夫の横で口いっぱいのザーメンをごくんと呑みこんでから夫の方に背中を向ける。
「寝てしまう前に縄だけは解いて。」
「ああ。こっちに手を出して。」
トオルは余韻を消したくないからというように目も瞑ったままで莉緒の後ろ手の縄を解いていく。縄が緩んだところで、後は自分で解けそうになったので莉緒はそのまま立上る。
「ねえ、貴方。私、自分の携帯をどっかに置き忘れちゃったの。貴方のスマホで呼び出し音を鳴らしていい?」
「ああ、背広のポケットに入ってる。」
トオルは射精した後の脱力感に浸っていて起き上がりもしない。
「パスワードは前に一緒に設定したトオル0629のままよね。」
「ああ、そうだよ。」
自分の身体から外した縄を束にしてまとめるとソファの下に押し込むと、夫の背広からスマホを取り出す。
「えーっと、ト・オ・ル、0、6、2、9っと。」
ルルルル・・・。呼出し音が一回鳴ったところでリビングの奥でチャランと自分のスマホが反応する。
「あ、あんなところにあったわ。」
すぐに呼出しを止めて、自分のスマホも着信を切る。
「ねえ、そのまま寝ちゃうの? 自分の寝室に戻ったら。」
「ああ、大丈夫。暫くここで休んだら、部屋に戻るから。」
「わかったわ。じゃ、毛布だけ掛けて上げる。」
夫の寝室から毛布だけ剥してくると、ソファでもう転寝を始めている夫に掛けると、二つのスマホを取って、そっと自分の寝室へ向かう莉緒だった。
寝室のドアをしっかり閉めてから改めて夫のスマホを立上げ、電話帳を開いて記録されている番号を端からメモに取る。夫の知人の電話帳を盗み取ることに罪悪感はないではなかったが、男の命令には背く訳にはゆかないのだった。
「これで全部だな。」
莉緒から夫の電話番号のメモを受け取ると机の抽斗にしまってから、顎でしゃくって莉緒に合図する。今では好男の命令は顎の動き一つで理解するまでになっている莉緒には穿いている物を下げて見せろと言っているのだと理解するのに時間は掛からなかった。
ランニングパンツをインナーショーツと一緒に下ろすとその内側に貼り付いているナプキンが露わになる。もうタンポンは併用していないので、鮮血の黒っぽい染みがついているが以前ほどの量ではない。
「ゆうべは旦那に奉仕だけして、あそこはさぞかし疼いているのだろう。ついて来い。」
男はそう言うと鍵束をひとつ取り上げると立上って管理人室を出て行く。莉緒はただ黙ってついていくしかなかった。
男が向かったのは半地下になった放送室のあるスタンド下の施設の中だった。施錠されたガラス扉を開けると、莉緒に先に入るように顎で指示する。ガラス扉から死角になる廊下の先に入ったところで、いきなり手首を掴まれ捩じられる。そのまま背中に捩じりあげられると、もう片方の手首と共にポケットから取り出したらしい太目の紐で縛り上げられる。肩を押されて入らされたのは、つい先日も連れ込まれたシャワー室だった。
今回はシャワー用の蛇口に括り付けられる代わりに髪の毛を掴まれて無理やりコンクリートの床にしゃがまさせられる。男はズボンのベルトを緩めるとチャックを降し、ズボンとトランクスを脱ぎ捨てる。莉緒は命令される前に察して、目の前の屹立した男の男根を口に含む。縛られたままだが、前夜夫のモノを含むので要領はわかっていた。横から咥えこむようにして口に入れてから顔をまっすぐに戻す。一度咥えてしまえば、あとは勃起度合が強くなってくるのに合わせて顔を前後に振ればいいのだと分かってきていた。
「もう、充分だ。」
男がそう言ったことで、口の中で果てるのが目的ではなかったことを知る。もう一度髪を掴んで莉緒を立ちあがらせると、頭を壁のほうに押し付けられて裸の尻を男の方に突き出すような格好をさせられる。その裸の尻の真ん中に、唾液でべとべとになったモノが押し込まれてくる。
次へ 先頭へ