アプリケータ

妄想小説


走る女 第一部



 三十五

 「ちょっとここへ置いてみろ。」
 男に言われて、仕方なく封を切った新しいタンポンとアプリケータをテーブルに置く。
 「これは何だ。」
 「ア、アプリケータというものです。挿入するのに使う道具です。」
 「じゃ、やってみろ。」
 莉緒は観念して新しいタンポンを袋から出すとアプリケータに被せ股間に差し込む。アプリケータごとタンポンが陰唇の中に押し込まれる。
 「そこで止めろ。そのまま手を離すんだ。」
 男に言われて仕方なくタンポンをアプリケータごと陰唇に突っ込んだまま手を離す。
 「どうだ、気持ちいいか?」
 「気持ちよくはありません。」
 「そうか。バイブの代りにはならんか。オナニーにディルドウを使ったことはあるのか?」
 「ディルドウ? バイブの事ですか?」
 「まあ、あの手のものの総称だな。振動しないものもあるからな、」
 「ありません、そんなもの。」
 思わず、強く言い切ったが、実際には大学生の頃、友人に進められて一度だけ挿入してみた事があったが嘘を吐くことにした。
 「ふん、嘘だな。お前の顔色を見てればわかす。お前は表情に出て判り易いからな。」
 莉緒はそれ以上反論しないことにした。
 「あ、あの・・・。アプリケータ、抜いていいですか。」
 「まあ、いいだろう。今度、バイブを着けさせて走らせてみることにしよう。」
 「そ、そんなの・・・無理です。タンポンだけだって、走るのは違和感が凄くあるのです。」
 「ほう、じゃランニングの時はタンポンはしないのか。」
 「陸上の試合の時なんかは仕方ないのでしてました。」
 「じゃ、今日もそれを嵌めたまま走って貰おうか。もうランニングパンツは上げていいぞ。さ、いつものコースを走ってくるんだ。」
 「あ、あの・・・。これは?」
 テーブルの上に置いた外したばかりのタンポンを指差す。
 「そのまま置いて行け。」
 そう言われて仕方なく莉緒はすごすごと管理人室を出るのだった。

 走り始めた莉緒は股間の違和感にすぐにも外したい気持ちを何とか堪えていたが、前日ナプキンも生理ショーツも無しで白っぽいランニングパンツだけで走らされたのを思い出して、それよりはましだと思うことにした。その日も何人もの散歩をしている老人たちと擦違う。そのうちの何人かは莉緒の顔を見て、はっとした顔をしている。
 (昨日のことを思い出しているんだわ、きっと。)
 股間を真っ赤にして走っていた女だと思い出されているのかと思うと、顔から火が噴き出そうなほど恥ずかしい。擦れ違う人達の顔を見ないようにひたすら地面を見ながら走り続けることしか出来ないのだった。

 何とか2周を走り終えた莉緒は再び管理人室に戻ってくる。処分しようと思っていたものは既にテーブルの上から無くなっていた。
 「ま、まさか・・・。またどこかへ放置して置いたんじゃないでしょうね。」
 「安心しろ。毎日、同じことをしてても詰まらんからな。今度は小学生たちには何処からあの血が流れ出てくるのか教えてやろうかな。」
 「どういう事ですか・・・。」
 「一番多い日にお前をノーパンでミニスカートを穿かせて小学生たちの通る通学路に縛り付けておくのさ。通学路の前に立たされたお前の太腿からたらーっと赤い筋が流れ出てれば、あれがどこから出てくるのか判るだろ?」
 「そ、そんな酷い事・・・。」
 「今月はもう一番多い日は終わってしまったからな。残念だが来月以降のお楽しみって訳だ。」
 冗談とは思ったが、この男はやりかねないとも思うと背筋が寒くなる気がした莉緒だった。
 「小学生の学習の為には、生理観察日記なんてのを付けさせるのもいいかもな。それとか昆虫採集の代りに、使用済ナプキンの標本づくりとか・・・。」
 「い、いやっ・・・。やめて、そんな事。考えるだけでぞっとするわ。」
 「ははは。ほんの冗談さ。それよりお前には次に命じることがある。よく聞いて覚えて帰るんだぞ。」
 男はその日の夜にすることを莉緒にしっかりと言い付けるのだった。

莉緒

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