超ミニパンチラ走り

妄想小説


走る女 第一部



 四十四

 次の日からショーツだけは穿く事を許されたものの、生地が薄手の頼りないビキニショーツしか穿かせて貰えないのだった。それでも一度ノーパンで走らされているだけに、ショーツ一枚でも穿かないで走るのと穿いて走るのでは大違いだった。

 莉緒のパンティをちらつかせながら走る様子は、どんどん人伝に広まってだんだんそれを目当てに散歩を装って覗きにくる男性が増えてきていた。中には双眼鏡持参で物陰から走る様子を観察されるまでになって、何かおかしいと莉緒が感じ始めていた矢先だった。
 「なあ、お前は何時もランニングやってるから今、評判になってるらしい『走る女』っていう動画サイト知ってるか?」
 夫が突然言い出したので、ぎくっとして振り返った莉緒だった。
 「え、『走る女』? さあ。知らないけど・・・。」
 そう答えたものの、嫌な予感がしてならない。
 「俺の同僚の石田ってのがさ、何かの拍子に見つけたらしいんだけど、超ミニのスカートでランニングをしてるのを望遠で撮ってるって只それだけのサイトだっていうんだけど。」
 「・・・。へえ、そうなの。ミニスカでランニング? 普通、しないわね、そんな事。貴方も見たの、そのサイト?」
 「いや、俺はまだ見てないけど。顔は写ってないらしい。ひたすら腰から下の太腿あたりまでを追ってるんだって。」
 「まあ、いやらしいわ。そんなサイト、観ないでね。」
 「ああ、俺はお前しか興味ないから大丈夫だよ。お前にいつも興奮させられてるからね。そうだ。今晩もまたしないか?」
 「え? じゃ、私のミニスカ姿を見て、それで興奮してね。そんな変なサイト見ないで。」
 「ああ、もちろんだよ。いつものアレっ。ロープも用意するからさ。」

 莉緒は蛭田にどうしても問い詰めねばならないと思っていた。夫のトオルが石田という同僚から聞いたというからには、あの男の仕業に違いないとふんだのだ。
 「私の走ってるところ、動画サイトにアップしたでしょ。」
 「ほう、もうそんな噂が聞こえてきたのか。」
 「やっぱり貴方なのね。夫が気づいたら、もうここへだって来ることが出来なくなるのよ。それに最近急にグランドで散歩やジョギングじゃなくて、私の走るところを見るのが目的で来ている輩が多い気がするの。あなたの動画のせいじゃなくて?」
 「お前だってギャラリーが多いほうが見せ甲斐があるだろ。今度もう一度、ノーパンで走ってみるかい?」
 「じょ、冗談じゃないわ。これ以上、評判になったら大変なことになるわ。」
 「だったら自分で何とかするんだな。注目を他に逸らすようにな。」
 「注目を他に逸らすですって。どうすればいいって言うの?」
 好男は莉緒に耳打ちする。
 「え、そんな事・・・。」

 莉緒は蛭田に告げられた秘策を実行したものか、まだ迷っていた。しかし、このままでは自分の走る姿を見に来る男がどんどん増え続けて、そのうちその噂が夫に耳にも入りかねない。なにせ自分たちの棲むマンションのすぐ傍で起きていることなのだ、そう莉緒は心配する。
 (やるしかないのね。)
 莉緒は覚悟を決めた。

 好男が莉緒に授けた秘策というのは、莉緒が今走っている総合グランドとは別の運動公園で夜に全裸で走るというものだった。それを何人かに目撃させるのと、その動画を密かに蛭田がアップするというのだ。ミニスカの走る女より、全裸疾走する女のほうがインパクトがあるというのだ。
 「でも、それだと今度は私が全裸の女になるだけじゃないの?」
 そう抗議したのだったが、全裸で走るのは2回か3回で充分で、あとは動画サイトで煽るだけで、感心はそっちに移るというのと、それを実施すればミニスカで走るのは赦してやると言われて莉緒はやる気になったのだった。
 実施するのは夫が遅番で帰りが遅くなる日を選ぶことにする。最初から全裸にランニングシューズを履いて、現地までは上にトレンチコートを羽織っていくことにしたのだった。撮影は蛭田がするとの事だったが、どこに潜んで撮影するのかは教えて貰えなかった。莉緒はそれしか今の窮地から逃れる方法はないのだと、自分に言い聞かせ夜の公園まで向かったのだった。

莉緒

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