走る女

妄想小説


走る女 第一部



 一

 (そろそろ、やって来る頃だな。)
 朝日市の市営総合グランドの管理を任されている蛭田好男は時計を確認すると、いつもの様に管理人室の窓のブラインドの一部を軽く指で開くと、もう片方の手で双眼鏡を目に当てる。
 好男が待っているのは、毎日決まった時間にやって来てグランドの周りをランニングで周回する女性なのだった。その女性に気づいたのは2週間ほど前のことだ。
 グランドには実に様々な人達が運動にやってくる。グランド内を借り切って野球やサッカーに興じるのは地元の少年野球チームやサッカークラブなどで、殆どが休日の利用だ。それとは別にただ運動がしたいだけで平日に個人でやって来る朝日市民が居る。殆どはジョギングか愛犬を伴った散歩で、圧倒的に老人が多い。着てくる服も地味な平服か、運動用のジャージというのが普通だ。しかし好男が注目している女性は明らかに過去に運動選手だったことを思わせる本格的な陸上用のランニングウェアで、年齢も平日やって来る人の中では圧倒的に若い部類だ。
 注目するきっかけになったのも初めてその女性を見掛けた日のことだ。いつものように熊手風の竹製の箒を持って地面に散らばる枯葉を集めている時だったのだが、グランドの周りにあるジョギング用の周回路の脇でランニング前の柔軟ストレッチをしている若い女性の姿が好男の目を惹いたのだった。

事前体操チラ

 はちきれる様な長い脚を伸ばしてストレッチに勤しんでいる女性の穿いた短いランニングパンツの裾の脇に白い下着が覗いて見えたからだった。つい見とれて視線が釘付けになってしまっていたのだが、その女性が好男の視線に気づいて目が合ってしまって慌てて顔を逸らしたのだった。着ているウェアが本格的なランニングのものであったことから想像した通り、走り出した彼女のスピードは並みのジョギング愛好家のそれを遥かに上回るものだった。しかし好男が注目しているのはその女の運動能力ではなく、短めというよりかなり露出度の高いランニングウェアから剥き出しの裸の肢体なのだった。下半身は股下ぎりぎりのランニングパンツだが、上着も時には臍丸出しの短いタンクトップの時もあって、鍛えられた締まった身体はそれだけで垂涎の的なのだった。胸元も体育会系女子にありがちな薄ぺらいものではなく、きつめのスポーツブラできっちり抑えつけられた乳房は豊満さを伺わせるものだった。

莉緒

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