妄想小説
走る女 第一部
二十七
その夜は夫のトオルは再び遅番だった。その夫の帰りを今晩も寝ないで莉緒は待つ。
「あ、貴方。お帰りなさい。」
「ああ、まだ起きていたのかい。」
「ええ、何だか眠れそうになくて。」
その夜も莉緒はトオルが好きなかなり短めのミニスカートにしていた。それをちらっと見て夫も気づいたようだった。
トオルが風呂へ行って戻ってくるタイミングを見計らってスマホを動画モードにして男への通信にして部屋の隅に立てかける。全ては男に言われた指示どおりだった。ついで、もう一度男から命じられた文句を頭の中でおさらいしてみる。すると夫がバスタオルを腰に巻いて戻ってきた。
「ねえ、貴方。私、この間初めてあなたのモノを口に咥えたでしょ。あれからずっと変なの。」
「え? 変なのって・・・?」
「私、どうしてもしてみたいことがあるの。ね、これで私を縛ってくださらない?」
そう言って、男から帰り掛けに渡された綿のロープを取出し、バスタオルだけでリビングの入り口に突っ立っている夫の前に膝を崩してしなを作るようにしゃがみこむ。
「ね。男の人って、女を縛って犯してみたいって思うものなの?」
「あ、いや・・・。ああ、そうかも。でも、いいの?」
「私、一度でいいから縛られたままでしてみたいの。お願いっ。」
最後は声が掠れそうになりながら、やっとのことで男に命じられた台詞を口にし終える。
夫のトオルは莉緒の方に一歩近づくと床からロープを取り上げる。そのはずみでバスタオルがはらりと床に落ちる。夫のそれはすでに鎌首を擡げ始めているのを莉緒は確認する。
「ほんとにいいのか。」
そう言いながらもトオルはすっかりその気になっている。莉緒の手首を取るとぐっと自分の方へ引き寄せる。
「ああっ・・・。」
莉緒がそれに合わせて、切なそうに喘ぎ声を挙げる。
「縛るぞ。」
トオルは縛り慣れていない様子だが、必死になって莉緒の両手首を後ろ手に括り上げる。両手の自由を奪われたところで、莉緒は一旦ベッドの方へ逃れる振りをする。
しかしそれはトオルを目立たないように立てかけたスマホのカメラの正面に導く為だった。
「ふふふ。今更、そんなところに行っても逃がしはしないよ。」
そう言って莉緒の肩を捉えると、無理やり自分の下半身の方を向かせる。
「あ、いや。こんなになって・・・。」
既に屹立している夫の男根から顔を背けようとするのをトオルは莉緒の顎を捉えて無理やり唇を当てさせる。
「うぐっ、うぐうぐ・・・。」
チュポッという卑猥な音を立てて、トオルのペニスが莉緒の口の中に吸い込まれる。トオルは更に莉緒の後頭部を抑えて喉奥まで己のモノを突き立てる。
「あぐぐぐっ・・・。」
「ああ、いい気持だ。欲しかったんだろ、これが。今、後ろから挿してやる。」
そう言ってペニスを一旦引き抜いてから、莉緒の上半身をベッドの上に俯せに押し倒し、莉緒の唾液で濡れそぼった男根を裸の尻を抱えるようにしながら挿入する。
「ああ、ああああ・・・・・。」
「どうだ、莉緒。縛られてされると、そんなにいいのかぁ。」
「ああ、あなた。駄目っ。おかしくなりそう・・・。」
「もっと突いてやる。それっ。これでどうだっ。」
「ねえ、あなたっ。お尻をぶって。私のお尻を叩いてぇ。」
「そんなこと、して欲しいのか。それなら、こうだ。」
パシーン。
「ああ、いいっ。もっと、してっ。」
「この変態女め。もっといたぶってやる。それっ。」
パシーン、パシーン。
「ああ、ああ・・・。おかしくなりそうよ。もっと激しく突いてぇっ・・・。」
「そりゃっ。」
パシーン。
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