美鈴三人囲まれ

妄想小説


美教師を奈落に貶める罠



 四十四

 「おや、美鈴じゃねえか。お前、恭平から振られたんだってな。」
 「何よ、貴方たち。私、恭平から振られた訳じゃないわ。ていうか、そもそも恭平とは付き合ってもいないし・・・。」
 「嘘吐くなよ。いつもつるんでたじゃないか。まあ、いいか。恭平とは付き合ってないんだったら、俺たちに付き合えよ。一人ぼっちで淋しくしてんだろ?」
 「私、淋しくなんかないし。それに貴方たちみたいなのと付き合う気はさらさらないわ。」
 「何だよ、その言い方。せっかく仲良くしてやろうって言ってんのに・・・。な、一緒に来いよ。」
 「やめてっ。放してよ。触らないでっ。」
 「ちょっと君たち。何してるの。その子、嫌がっているみたいだけど?」
 美鈴を強引に引っ張って行こうとしていた三人の男子生徒等は後ろから掛けられた声にびっくりして振り向く。

武井眼力

 一人の若い女性が立っていたのだが、その眼光は射すくめるように鋭かった。
 「な、なんでえ。おめえは何者だ? 俺たちの会話に勝手に入ってくんなよ。」
 「会話には聞こえなかったわ。貴方たち、西湘高校の生徒でしょ?」
 「だったらどうだってえんだよ。おめえには関係ねえだろ?」
 「西湘の生徒には、もっと健全な付き合い方をして欲しいの。ねえ、そこの貴女。もう行っちゃいなさいな。」
 「何、勝手なこと言ってんだよ。俺たちゃこの美鈴に用があんだよ。美鈴っ。こっちへ来な。」
 そう言って美鈴の腕を取ろうと伸ばした男子生徒は、その前に手を伸ばして防いだ若い女性の両手で阻まれる。
 「さ、今のうちに行っちゃいなさいな。この男の子たちは私が相手するから。」
 「相手するだと? 随分生意気な口利くじゃねえかよ。ようし、そんなら相手して貰おうじゃねえか。おい、この生意気な女にヤキ入れてやろうぜ。」
 男子生徒三人はぐるりと女性の周りを取り囲むと次第に間合いを詰めていく。その間に美鈴は少しずつ後ずさりしながら女性と男達の傍から離れていく。
 女性の後ろ側に居た男子の一人が女性を羽交い絞めにしようと掴み掛かる。
 「俺が押さえているから一発ぶちかましてやれっ。」
 しかしぶちかまされたのはその声に押されて拳骨を繰り出してきた男子生徒の方だった。女性は後ろから組み付いてきた方に肘鉄を食わせ怯んだ隙に拳骨を繰り出してきた方に回し蹴りを当てたのだった。

kaoru

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