妄想小説
美教師を奈落に貶める罠
十七
スカートを降ろして足から抜き取ると薫は立ちあがるよう命じられる。屋上の下の方からは校庭で部活をする生徒達の声が響いてきていた。あまり柵に近寄るとみられてしま惧れがあるので柵から離れて立つ薫だった。
薫が脱ぎ捨てたスカートは恭平が拾い上げ奪い取られてしまう。
「あっ・・・。」
薫が声を挙げた時にはすでに恭平の手を離れてスカートは柵を超えて中庭の方へ落ちていくのが見えた。
「な、何するのよ・・・。スカートを返してっ。」
薫はスカート無しで丸見えになってしまうショーツを手で隠しながら恭平に訴える。
「スカートだったら俺が拾ってきて返してやるよ。但し、職員室のアンタの席にね。」
「え、そんな・・・。ここへ持ってきて。こんな格好じゃ職員室になんて行けないわ。」
「大丈夫だよ。皆んなが下校しちゃうまで待てばいいだけだよ。教職員だって夜遅くまでは残ってないだろ?」
「そんな・・・。私にそんな時間までここに居ろっていうの?」
「だから罰だって言ったろ。じゃあな。ごゆっくり。」
そう言うと恭平は悠々と屋上出入り口の方へ歩いて行ってしまうのだった。薫は呆然と立ち尽くして後を追うことも出来ないでいた。
「うっ、さ、寒いっ・・・。」
只でさえ冷たい風が吹き抜ける屋上にスカートも着けてない姿でじっと夜を待たねばならないのだ。思わず薫はぶるっと身体を震わせる。その瞬間に次第に尿意が沸き起こってくるのを感じる。それが薫にデジャブを想起させる。
(これって、昨日も同じだったわ。スカートを奪い取られて外に出れなくさせられて、その上で募ってくる尿意を我慢させられたんだったわ。)
薫は屋上を見渡してみる。勿論トイレなどある筈はない。すぐ下の階には廊下の奥にトイレはあるが、生徒等がまだ居る間は降りてはゆけない。生徒等が全員帰ってしまう時間まで我慢し通せる自信はなかった。
(ああ、オシッコがしたい・・・。)
両脚をぴったりくっつけて膝を曲げて何とか堪えているが、限界を迎えるのは時間の問題だった。屋上の四隅には雨水を流す排水溝がある。しかし隅に寄れば校庭に居る誰かに気づかれてしまう心配もあった。薫は下に生徒等が居る可能性が一番低いと思われる裏庭に面した方の隅に身体を屈めて近づいていく。
(ああ、もう駄目っ。)
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