妄想小説
美教師を奈落に貶める罠
三十三
「えっ、何処行くつもり。待ってっ。服を勝手に持って行かないでっ。」
慌てて権藤を追い掛ける薫は階段上の空き教室に入った権藤に逆に掴まえられてしまう。
「あ、いやっ。駄目っ・・・。」
「先生? そんなに声を挙げたら誰か来ちゃいますよ。いいんですか?」
「ああっ・・・。お願い、もう赦してっ・・・。」
結局、薫はその部屋で再び権藤の精を浴びる羽目になってしまうのだった。
「な、薫先生よ。さっきの校長の話、聞いたろ? 今、この学校で先生が万引きしたなんて不祥事が起こったら、あの校長も定年退職前に責任を取らされて退職金も無しで解雇だろうな。勿論アンタだってそうさ。それから教師を辞めて国に帰ろうなんて考えても無駄だぜ。アンタの故郷なんざ調べがついてるんだからな。郷里の母さんがアンタがしたことを知ったらどうなるかね。アンタのビデオを郷里でばらまくなんざ簡単に出来るんだからな。それじゃ、今度は万引き防止対策チームの会合で会う事にしようか。その後、たっぷりお愉しみも待ってるからな。」
そう脅しの文句を並べると、権蔵は悠然と教室を出てゆくのだった。
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