妄想小説
美教師を奈落に貶める罠
十三
「私、決して逃げませんからもう手錠は赦してくださいっ。」
しかし男は耳を貸そうともせずに、今度は手錠の反対側を天井を走る配管に繋げてしまう。そのせいで薫は片手を頭の上に挙げていなくてはならず、只でさえ短いTシャツの裾が更にずり上がってしまうのだった。
男は机の上に散らばっていた薫が脱がされた衣服を搔き集めるとそれを抱えて部屋を出て行こうとしたが、すぐにくるりと踵を返して薫の方へ戻ってくる。
「おっと、いけねえ。お前が着てたものだという証拠を取っておかなくちゃならないんだった。忘れるところだったぜ。まずはこの上着っ。」
事務机の抽斗にしまっていたデジカメを取り出すと薫の上着を薫の真正面に翳して顔と服が一緒に写るようにして撮影する。薫は手錠で天井から吊るされているので逃げることも出来ない。上着に続いてブラウス、スカートと同じように撮影すると次はブラジャーだった。薫は唇を噛んで悔しそうに顔を俯ける。
「さてと、最後はパンティだな。」
男はそう言って同じ様にパンティを薫の顔のすぐ前で翳して一枚とると、今度は丁寧に裏返してもう一度撮ろうとする。
「どうしてパンティの裏側まで撮る必要があるんですか?」
「ふふふ。ほら、ここにメーカーのタグが付いているだろ。表だけじゃ銘柄が分からんからな。」
そう言ってもう一枚撮影するのだが、薫には男がクロッチの部分を態と撮っているようにしか見えない。しかし抗議してももはや無駄なのだと諦める。
下着まで薫が身に着けていたもの全ての写真を顔写真付きで撮り終えると、男は薫を残して事務室を出ていってしまう。一人取り残された薫は片手を上に挙げたままの格好で座ることも許されずに立ち尽くすしかないのだった。
男が出ていってから戻ってくるのにたっぷり小一時間は経過していた。しかし戻ってきた男は、薫の衣服を手にしていないのだった。
「あ、あの・・・。私の服は?」
「あん? まだ衣料品売り場担当が手分けして検分中だ。何せ在庫は種類が多いからな。特に下着は種類が多くて大変なんだよ。」
薫は自分の着用していた下着がこの男だけでなく他の者、それも複数の者の目に晒されているのかと思うと、暗澹たる気持ちにならざるを得ない。
「あ、あの・・・。まだ、暫く掛かるのでしょうか?」
「さあな。あと少しって訳にはいかないかもな。」
男の答えはにべもなかった。
「あ、あの・・・。ちょっとおトイレに行かせて貰うわけにはゆかないでしょうか。」
「何だと? お前、万引き犯の取調べ中だぞっ。ははあ、トイレに行くとか言って逃げるつもりだな。姑息なこと、考えやがって。」
「ち、違いますっ。ほんとです。さっきからずっと我慢していたのです。」
「・・・。オシッコか? まさかウンコしたいってんじゃ・・・。」
「あ、あの・・・。小の方です。ここ、さっきから隙間風がすうすう通って。こんな薄っぺらいTシャツ一枚なので、身体が冷えるんです。」
「何だよ。貸して貰ったTシャツに文句付けるのか。だったら今すぐ脱いでいいんだぜ。」
「ああっ、そういうつもりではありません。済みませんでした。折角貸して頂いたのに。でも、本当にもう洩れそうなんです。お願いしますっ。」
「しかし逃げる惧れがあるんでな。手錠を外す訳にはゆかないぞ。後ろ手に掛けかえてならいかしてやってもいいが・・・。しかし、その格好で手錠を掛けられたまま店のトイレに行けるのか? 客だって入ってくるんだぞ。」
「えっ? お客さん用のトイレしかないんですか。従業員専用のは・・・。」
「はっ。そんなもの、ねえよ。」
「うっ。どうしよう・・・。ああっ、駄目っ。もう洩れそう・・・。」
「ふん。いい大人が、オシッコぐらい我慢出来ねえのかよ。しかたねえなあ。」
男はそう言って事務所の中を見回す。
「そうだ。掃除用のバケツならあるぜ。掃除のオバサンには悪いが、後でよく洗っておけばいいだろう。ちょっと待ちな。」
「えっ? 掃除用のバケツって・・・。」
男は部屋の隅にあったロッカーのような所から掃除用のスチールバケツとモップを持って来ると吊られて動けない薫の前に置くのだった。
「こ、これにしろって言うの?」
「嫌ならいいんだぜ。但しここでお洩らしでもしたら、舐めてでも綺麗にして貰うからな。」
その間にも非情な尿意が薫に限界を迎えさせようとしていた。
「わ、わかったわ。でも手が届かないからバケツを取って。いえ、取ってください。は、早くっ。」
「いいか。バケツから洩らしたらこのモップで床の掃除をするんだぜ。それから俺のTシャツは汚さないようにたくし上げてするんだぜ、いいな。」
「わ、わかったから早くっ・・・。」
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