妄想小説
美教師を奈落に貶める罠
三十八
「ねえ、待って。美鈴さん。助けて欲しいの。私、とんでもない事になっているのよ。奈落の底に貶められて突き落とされたような状況なの。」
「先生? 先生は大人でしょ。生徒の私に助けを求めるなんて、おかしくない?」
「そ、そうだけど・・・。他にこんなこと、相談出来る相手は居ないのよ。貴女は恭平クンとは長い付き合いでしょ? この状況を打開するのに何かいい知恵はないかと思って・・・。」
「私は恭平と付き合ってなんかいないわ。彼に弱みを握られて振り回されてただけ。あいつは賢いからそんな簡単に逃げられないわよ。」
「ああ、そんな・・・。突き放すような言い方しないでっ。彼のことだったら、貴女が一番よく知ってると思うの。何か手はある筈だわ。」
「しょうがないわね。じゃ、わたしの真似をするしかないわね。」
「えっ、貴女の真似・・・? どういう事?」
「新しい性奴隷をあてがうのよ。そして貴女は彼から厭きられるようにするの。」
「よく分からないわ。もっとよく教えて・・・。」
「彼は貴女にいろんな事仕掛けてくるけど、自分から身体を求めてきたりはしないでしょ?」
「そう・・・言われてみれば、そう・・・だわね。」
「彼は自分自身が性行為をすることには興味がないの。というか、それでは満足出来ないの。そんな事より、正義感や倫理観の強い女を虐めて困らせることで性的快感を得ているの。先生はそういう典型でしょ? 先生が転任してきた時、すぐわかったわ、私。その頃、もう私に興味を喪い掛けてたから。それで、すぐに私は先生を陥れるのに使われたの。わたしはやっと彼から逃れられるチャンスが巡ってきたと思ったわ。」
「恭平クンが私に厭きてくる・・・? どうすればそんな事が出来るの?」
「簡単よ。先生が自堕落で淫乱な女性になったと演じればいいの。恭平にいろんなことをされたせいで、性に目覚めて自分から性欲剥き出しの女になればいいの。なればというか演じるだけでいいのよ。そういう女には恭平は魅力を感じないの。すぐに厭きてきて他のターゲットを探し始める筈よ。」
「え、そんな事・・・。ほんとかしら?」
「自分で確かめてみればいいんじゃない?」
美鈴に言われた話は薫にとっては半信半疑のものだった。それでも恭平の毒牙から逃れるにはそれしか道はないかもしれないと思い始めたのだった。
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