妄想小説
美人アナ なな実が受ける罰
二十五
「え、これっ? 昨日のリハーサルの時とコスチュームが違うじゃないの。」
なな実はスタイリストの安東マツから渡された衣装を見て、思わず声を荒げた。
「でも、今日のディレクターの藤森さんからこれって渡されたんです。」
一日前のリハーサルの際になな実が身に着けたのはノースリーブのスポーツタンクトップとちょっとぴったりしたハーフパンツだった。身体の線がはっきり出るのでどうかとは思ったが、身体には自信があるなな実にとっては悪くない選択だと自分を納得させたのだった。しかし、本番直前になって安東が持ってきたのは上半身は同じものだったが、下はかなり短いスカートだった。
「ちょっと貸してっ。ディレクターに抗議してくるから。」
息巻いて、スタイリストから受け取った服を持って控室を出ようとして逆に入ってきたディレクターの藤森とぶつかりそうになる。
「どうしたの、大声で騒いで。」
「あ、ちょうどいいわ。藤森っ。これってどういう事? こんな短いスカートでエクササイズのコーナーをやれっていうの?」
「ああ、それ? 局長からの直々の指示なんだよ。リハの時の格好はちょっとダサすぎるって駄目ダシがでてね。もっと健康そうなところをアピールしなちゃっていうのだ。」
「健康そうって。こんなんじゃパンツがみえちゃうじゃないの。」
「いや、大丈夫。絶対写さないように指示するから。」
「ホントなの? 最初っからパンチラ狙いなんじゃないの?」
「あ、もう着替えて。時間がないから。本番が始まっちゃう。」
「せめて、アンスコは穿かせて貰うわよ。」
「あ、いや。アンスコは今回用意してないんだ。大丈夫。絶対スカートの中は写さないようにするから。俺が保証する。それよりもう時間がないんだ。」
「あ、そろそろお天気コーナーじゃない?」
「ああ、そっちだったら心配ないよ。今日から新人の静香が担当することになってもうスタンバイに入ってるから。」
「え? 聞いてないわよ、そんなこと。」
「だって、エクササイズのコーナーと掛け持ちって訳にはいかないから。ちょっと急いで。お天気コーナー、終わったらすぐにエクササイズの新コーナーなんだから。」
時間がないという藤森の言葉に押しまくられて、不承不承、着替えることを了承したなな実だった。アンスコ無しで膝上30cmはあろうかというミニサイズのスカートに脚を通す。ウェア自体は女性っぽさを強調した可愛いデザインのもので、さすがに有名スポーツブランドと提携しているだけの事はあるとなな実も感心するのだった。
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