妄想小説
美人アナ なな実が受ける罰
十
それはデジカメで撮ったらしい画像をプリンタのようなもので印刷したものらしかった。中心に見覚えのある狼の被り物をした男が立っている。そして左手で指の先に引っ掛けたものをこちらに向かって翳している。すぐにそれは昨日奪われた筈の自分の下着に違いないことに気づく。見覚えのあるリボンでそれと判った。ショーツは裏返されていて、クロッチの部分が薄っすら汚れているところまではっきりと写っていた。
それは明らかに宣戦布告の挑戦状だとなな実にはすぐに判った。破り捨ててしまいたいのをぐっと堪えて机の抽斗の最下段にしまうと抽斗に鍵を掛けてなな実はアナウンサ控室に急ぐのだった。
『なな実さ~ん、どうしたんですか? 目が虚ろですけど、もうじき本番キュー入りま~すぅ。』
(はっ、いけない。ぼーっとしていた。)
本番が始まってからも、なな実はカメラが自分の方から切替えられると、すぐに送りつけられた手紙の事を考えてしまうのだった。
『あと3秒でカメラ切り替えま~す。』
耳に付けているレシーバに今日の担当ディレクターからの指示が入る。なな実はさっと表情を切り替えてカメラに備える。
「えー、それではここからはお天気情報にはいりま~す。まず、天気図のほうをご覧ください。」
何事もなかったかのようになな実は放送に対応していくのだった。
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