屋上パンツ脱ぎ

妄想小説

美人アナ なな実が受ける罰


 十二

 屋上は最上階のフロアから外階段を上がってすぐのところだ。時折、煙草をふかす為に社員がこっそり上がっていることもあるが、煙草を吸う人間がめっきり減ったのと、喫煙室が各フロアに完備された為に最近は、わざわざ屋上まで行く者も居なくなったようだった。
 最上階フロアから外階段に出て、屋上まで上がってみると案の定誰の姿もなかった。近隣のビルは近くはないが、それほど遠くもない。何気なく屋上を観てるものが居たとしても、何をしてるのかまでははっきりとは見えないかもしれない。しかし双眼鏡でも使えば、はっきり見てとれるだろう。そしておそらくはなな実に命令してきた男は周りのビルのどこかの窓からそうやって覗いているに違いなかった。
 (くっ・・・。)
 狼男の言うなりになるのは、何とも悔しい。しかし、今は従わないと何を仕掛けてくるか判らない。それも怖かった。ちょっと躊躇した後、なな実は決心した。
  先に外階段脇の物陰に隠れてストッキングだけ先に脱ぎ取る。犯人はパンティを脱ぐところを屋上で晒せと言っているのだ。物陰に隠れて脱ぐ訳にはいかない。それでパンティを脱いでいる時間を少しでも短くしたかったのだ。
 素足になって再び屋上の他のビルからは丸見えの縁のすぐ近くに立つ。あたりをもう一度見渡してみるが、自分に非情の命令をした男の姿など見つけ出せる筈もなかった。
 なな実は唇を噛んで悔しさを噛みしめてからサンダルのホックを外すと、スカートの中に手をいれて最後の一枚のショーツを一気に引き降ろす。片方の足ずつ抜いて脱ぎ終わるのに3秒とは掛からなかった。その目的で見張っている筈の犯人に見られたのは仕方ないとして、他に別の誰かに気づかれたかは何とも言えなかった。まさか、放送局の屋上にパンツを脱ぎに来る女が居るかもしれないと双眼鏡で見張っているような男がそう居る筈はないと信じるしかなかった。

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