妄想小説
美人アナ なな実が受ける罰
二十
(今だわ。)
なな実が両膝の上に置いていた両手を挙げ、手の平を向けて横に振りさよならのポーズを取る。
「また明日~。ごきげんよう。」
しかし、なな実が両手を挙げた瞬間にカメラが切り替わり、なな実の膝頭をアップしてから引きに入る。なな実はそれに気づいていなかった。
『はーい、カット。御苦労さまでしたぁ。』
「ご苦労さまでぇす。」
「はい、ご苦労さまっ。」
キャストとスタッフが一斉に立ち上がる。なな実も一緒に椅子を降りてフロアに向かう。
「ご苦労さまでした。」
「あ、なな実ちゃん。ちょっと・・・。」
ディレクターの藤森がインカムを外しながらなな実に向かって目で合図する。
(ん? 何だろ・・・。)
不審に思いながら、藤森が歩いてスタジオを出ていくのの後につく。廊下に出たところで藤森がなな実のほうに振返りながら小声で囁く。
「さっきパンツが見えちゃってたよ。すぐにカメラを切替させたから映ったのはほんの一瞬だと思う。でも録画撮ってる奴も多いから、もしかしたら明日辺りネットで炎上してるかも・・・。」
「え、何ですって?」
確か、自分の方へ向けたカメラはオンになっていなかった筈と安心しきっていたのだ。命令された事は実行したのだから文句はあるまいというつもりでいたのに、それがオンエアされてしまっていたと言うのだった。
「なな実ちゃんらしくないよな。あんな短いスカートなのに、両手外しちゃうなんて。油断し過ぎだよ。まあ誰も録画してなかったことを祈るしかないな。」
「え、そんな・・・。」
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