妄想小説
美人アナ なな実が受ける罰
十八
翌日も何とか気を取り直して出社したなな実だったが、何時、何を仕掛けられるか判らない不安に緊張の色は隠せなかった。昨日の事も考えて、バッグには替えのショーツまで忍ばせておいた。
午後のワイドニュースの前に女子アナ控室に入ると、いつものスタイリストの安東マツがスタンバイしていた。
「あ、なな実さん。荷物が届いていますよ。」
一瞬、嫌な予感がする。
「これですけど・・・。差出人にところには、from Mってだけ。」
「エム? 」
エムと言えば、思い出されるのは先日すっぽかされたプロデューサのMだ。なな実が小包とは言えないほどのちょっと膨らんだ紙包を開いてみると中からワンピースが出てきた。
「あら、お洒落。でも丈は結構短いですね。」
「ああ、これ・・・ね。」
なな実はわざと心得ているとばかりの振りをしてみせる。
「今日はこれにしてみようかな? 」
「ああ、いいんじゃないですか。攻めてるって感じで。」
その短い丈から刺激的に伸びた脚を晒すのはまさに攻めているという感じになりそうだった。
「でも気を付けてくださいね。特に腰を下ろす時は。」
「大丈夫よ。このくらいの丈、穿きなれているわ。」
「そうですよね。」
そう言いながらも内心の動揺を抑えるので精一杯だった。こんなものを送りつけてきたからには、それを着て放送に出ろというのに違いなかった。なな実は受けて立つつもりだった。
「おい、酒井。お前、今日のニュースワイドのディレクター担当だったよな。」
「ああ、そうだよ。」
「いいなあ、お前は。おれも一度あの番組のディレクター担当してみたいんだよな。なんか都合悪くなったらいつでも代わってやるから遠慮なく言えよ。」
「まあ、その時はよろしくな、藤森。」
酒井と藤森は同期だが、仕事の上では酒井の方が一歩出世しているのだった。
「あ、そうだ。さっきなな実ちゃんがこれ配っていた時、お前居なかったろ。俺が貰っといてやったよ、お前の分。」
「お、パウンドケーキか。ごちっ。番組の前に軽く腹ごしらえしとくか。」
「じゃあな。」
酒井がパウンドケーキを一口でくちにしたのを見届けると、藤森はディレクター控室に向かうのだった。
次へ 先頭へ