緊縛半裸画

妄想小説


モデルになった美人ホステス



 三十九

 「この絵ですか、今度売りつけようとしているのは・・・?」
 美沙子はギャラリーの地下にある特別室に展示されている作品を鮫津に見せて貰って息を呑む。劉邦から縛っている姿を描いてみたいと申し出され、何作もデッサンを作っていたが次第に着物を着ているものの露出が少しずつ多くなっていってかなり際どい格好まで試してみたものの一つだった。
 「嫌かな?」
 「幾らで薦めるおつもりですか?」
 「そうだな。2億円はいけるだろうとみている。」
 「2億円・・・ですか。そんなに出すでしょうか?」
 「さあ、それは君の演技しだいだな。」
 「この格好で、また私を縛らせるおつもりなんですね?」
 「あの兼平って社長も、もうあっちの方はとっくに駄目なんだそうだ。その割に好色で助平爺ぃって評判だからな。」
 美沙子も前回カルネで指名を受けて逢った時の様子を思い返していた。鮫津の言うように好色そうではあるが、男性としての能力は既に無さそうに感じたのだった。半裸状態で縛られたとしても危険な気はしないのだった。
 「いいわ。やってみましょう。」
 美沙子は覚悟を決めたのだった。

半裸緊縛画

 「君、本当にあの絵を劉邦先生が描かれたときはあの格好になったのかね?」
 特別室で鮫津に絵を見せられてその後貴賓室で待つ美沙子の元にやってきた兼平は開口一番にそう訊ねたのだった。
 「それはモデルですから。先生の注文どおりのポーズを取らなければ仕事にはなりません。」
 目の前に端正に佇む美沙子の凛とした姿を見ながら、兼平は思わず固唾を呑む。
 「わ、わたしにも同じ姿になってみてくれはしないだろうか。あ、いや。わたしはもうこっちは役にたたない老いぼれだから心配はいらん。決して襲ったりはしないから。」
 「どうしてそんなことをお望みになるのです?」
 「いや。嫉妬かな・・・、劉邦先生に対する。君を見ていて、画伯の前であんなポーズを取っていたと思うと、同じ姿を実物でどうしても見てみたくなったのだ。」
 「わかりました。でも、一度だけですよ。」
 美沙子は兼平をベッドルームの隣に設えてある和室へと導く。

misako

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