妄想小説
モデルになった美人ホステス
二十三
「そうさ。劉邦先生最後の瞬間の動画さ。」
「何時の間にこんなものを・・・。」
「お前さんが劉邦先生に夢中で喰らいついていたからな。俺が動画撮ってるなんて気づく余裕は無かったろうな。」
「いったい、どうしようって言うんですか?」
鮫津は美沙子の背後に回り込んできて肩に手を置くと美沙子の耳元に囁きかける。
「さあて、どうするかな。警察は画伯が年甲斐もなくオナニーで抜こうとして薬を呑んで勃起させたんで、心臓に負担が掛かったと思い込んでいるようだからな。」
「でも先生が薬をお呑みになっていたのは間違いありませんわ。」
「そうだが、オナニーではなくて腹上死だったとなれば直接の死因に疑義がかかるのは間違いないだろうな。今のところオナニーで心臓発作なら警察もそれ以上は動かないだろうし、週刊誌が嗅ぎ付けることもないだろうな。それが実は腹上死だったとなれば、大変な騒ぎになるだろうよ。」
「こ、困ります・・・。そんな事。先生の名前に傷がついてしまいます。まさか警察に渡したりしないですよね。」
「それはお前の態度次第ってとこかな。」
「お願いです。どうか、この事は内密にしてください。私が何でもしますから。」
美沙子は鮫津を前にして土下座で頼み込むのだった。
「何でもすると言ったな。それなら本当にそう思っているのか試してみるか。両手を後ろに回すんだ。」
「両手を後ろって・・・。まさかここで私を縛るんですか?」
「あの時だって先生に縛って貰っていたんだろ? 先生を見送るんだ。それにふさわしい格好じゃないか。」
「そ、そんな・・・。誰かが来たらどうするんです?」
「だったら誰も来ないように静かにしてるんだな。それとも声を挙げて誰かに来て貰うか? 先生を送るのに、先生が一番好きだった格好をしてるんですとでも言い訳したらどうだ?」
「ああ、そんなあ・・・。」
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