妄想小説
モデルになった美人ホステス
二十六
美沙子は一晩中一睡も出来ずに股間を責められ続けていたせいで、疲労困憊の状態で読経が終わるまでそのままの格好で待たねばならないのは地獄のような責め苦だった。しかも一晩中縛り付けられていて、じわりじわりと迫りつつある尿意にも堪え続けなければならなかったのだった。
漸く朝のお務めの読経が終わり、住職が立ち上がった時にはもう美沙子は気絶寸前だった。
「では私はこれから葬儀の準備で着替えて参りますので一旦失礼させて頂きます。このまま葬儀までこちらでお待ち頂いても宜しいのですが、一度お休みになられては・・・。」
「あ、ありがとう・・・ございます。では、後ほど。」
美沙子は早く住職に立ち去って貰うことばかり考えて深く頭を下げていたが、それは我慢の限界を迎えている表情を見られないようにする為であった。
住職がやっとのことで立ち去ると社釈迦如来像の後ろに隠れていた鮫津が出てきた。
「どうか、お願いです。さっきからおトイレに行きたくてずっと我慢し続けていたのです。もう限界です。な、縄を・・・。」
美沙子が涙目になって懇願するのを、冷淡な目で見降ろしている鮫津なのだった。
あらかたの弔問客は前夜の通夜の会葬のうちに訪れてきてしまったらしく、翌日の葬儀への会葬者はほんの極一部だった。朝の住職の読経の後、漸く鮫津から戒めを解いて貰ってトイレに駆け込んだ美沙子はかろうじて粗相までには至らないで済んだものの、葬儀を最後まで喪主としてやり遂げるという意思の力は尽き果て、ただ茫然としながら挨拶も無しに最後の会葬者を見送ったのだった。
次へ 先頭へ