妄想小説
モデルになった美人ホステス
十七
美沙子の方へ向かって、屹立した男根をこれみよがしに見せつけながら歩み始めた劉邦だったが、そと途中で突然胸を抑えて崩れ落ちるのだった。
「ど、どうされたのですか、劉邦先生?」
「う、ううむ。む、胸が・・・。胸がく、苦しいのだ・・・。」
すぐにも劉邦の元へ走り寄りたい美沙子なのだったが、劉邦に戒めを受けた縄のせいで柱に括り付けられたまま身動きが出来ないのだった。
「りゅ、劉邦先生っ。しっかりしてください。ああ、だ、誰かっ。誰か、居ませんか?」
美沙子は劉邦が絵の作製を始める前に、信代が(夕食の準備が完了しましたので今夜はこれで失礼致します)とドア越しに声を掛けて帰宅する挨拶に来たのを聞いていた。信代は絵の作製中は劉邦からきつく言われているらしく、決してアトリエの中には入って来ないのだった。
(信代さんはもう帰ってしまって屋敷内には居ないのだわ。どうしよう・・・。)
美沙子は目の前で劉邦が仰向けに倒れて苦しんでいるのをどうすることも出来ずに絶望感に駆られていたのだが、窓の外を黒い影が走ったのを目敏く見つけていた。
(え、誰か庭に居るのかしら・・・。)
美沙子は自分が着物の裾を乱して縄で繋がれていることに一瞬躊躇したが、誰かがもし居るのなら助けを呼ぶしかないと思い直したのだった。
「誰かぁ・・・。誰か居るのなら、助けてくださぁい・・・。」
思い切って大声を挙げてみた美沙子は、その一瞬後に玄関のドアが開く音を聞いたような気がした。その少し後にアトリエの扉のステンドグラスで曇りガラスになっている小窓の向こう側に黒い影がすっと立ったのを見逃さなかった。
「あの・・・、どなたか存じませんがこちらです。劉邦先生が大変なのです。助けに来てくださいませんか。」
必死で美沙子が叫ぶ声に応えてアトリエのドアがゆっくりと開かれる。ドアの向こうから現れたのは思ってもみなかった自分をクラブ・カルネに紹介してくれた鮫津吾郎なのだった。
「純子さん・・・。どうしたんです、その格好は?」
吾郎は、美沙子のあられもない姿を目にしてまずはそう口にする。吾郎は美沙子の本名を知っている筈だったがカルネでの源氏名で声を掛けたのだった。
「わ、私はいいから、そこに劉邦先生が倒れているの。早く、何とかしてっ・・・。」
美沙子に言われて吾郎はソファの前の床に倒れ込んでいる劉邦の姿に気づく。その劉邦も仰向けの格好で下半身の裾を絡げていて、屹立している男根を露わにしているのだった。
吾郎が顔を近づけると、劉邦は薄目を開いて呟くように喋る。
「き、君はたしか鮫津君と言ったな。私はもう長くない。どうか後生だから、あの世に逝く前に一度だけでも美沙子とまぐわっておきたいのだ。これが最後のチャンスかもしれん。み、美沙子と・・・、美沙子をまぐわらせてくれないか。」
吾郎はテーブルの上に置いてある薬の壜をちらっと見て、それが何であるのかを一瞬で見抜く。
「純子さん、どうする? 先生はこう言っておられるぜ。もう時間がないかもしれないな。」
「えっ? 吾郎さん。私・・・、どうしたらいいの?」
「簡単だよ。その着物の下は何も穿いてないんだろ? そのまま跨ればいいのさ。」
吾郎は美沙子を柱に繋いでいる縄の部分だけを解いて美沙子の肩を抱いて倒れている劉邦の身体の上に跨らせる。
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