妄想小説
モデルになった美人ホステス
二十九
美沙子は必死で抵抗しようとするが、男の力には勝てる筈もなかった。予め用意してきたらしい荒縄であっと言う間に睦男に後ろ手で縛り上げられてしまう。
「アタシはこの女が劉邦をたぶらかして贋の遺言をでっち上げたって証明するものが何かある筈だからそれを探しに行ってくるんで、睦男はその間この女を見張っておくんだよ。いいね。」
「ああ、まかせておきな。」
「私が先生をたぶらかしたなんて・・・。そんなものがある筈ありませんわ。勝手に家探しなんかしないでくださいっ。」
「おだまりっ。」
ピシッ。
倫子は両手を縛られて抵抗出来ない美沙子の頬にビンタを喰らわせると、独り劉邦が書斎に使っていた部屋の方へ出て行ってしまうのだった。
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