妄想小説
モデルになった美人ホステス
一
「えーっと、合計2,935円ですね。」
「え・・・? どうしよう?」
「どうかしましたか?」
「あ、あの・・・。お金が足りないんです。少し品物、戻していいですか?」
「え? 食品の返品は困るんです。」
「本当に済みません。お財布に入っているお金が足りないんです。なんとかなりませんか?」
美沙子にとってまさかの事態だった。滞納していたアパート代をなんとか支払った直後だった。美沙子の財布に残っていた残金は千円とちょっとしかなかったのだ。
「どうかしましたか?」
コンビニのレジのすぐ後ろに並んでいた男性が美沙子に声を掛けてきた。
「あ、済みません。お待たせしちゃって・・・。お財布に入っている残金、確認してなかったんです。」
「あ、君っ。この人の分もこのカードで払って。」
後ろに並んでいた男は自分のクレジットカードを差し出すと、自分の買い物籠を隣に置くのだった。
「さっきはありがとうございました。あの、必ずお返ししますので住所とお名前を教えて頂けますか?」
美沙子は足りなかったお金を支払ってくれて男性と一緒にコンビニを出ると一緒に歩きながら申し出る。
「ああ、たいした額じゃないから気にしなくていいよ。それより、君。何の仕事してるの?」
「えっ? ああ、今はスーパーのレジ打ちのバイトとかですけど。アパート代払うのがカツカツで、もう少しお給料のいい仕事を捜してはいるんですが・・・。」
「へえ。そうなんだ・・・。だったら、ボクがいい仕事紹介してあげるよ。」
「え、ホントですか? どんなお仕事ですか。」
「大丈夫。危ない仕事じゃないから。君ならあっと言う間に大きなお金が稼げるようになるから。」
その男が謎のウィンクを美沙子にしてみせるのだった。
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