妄想小説
超力戦隊 オーレンジャー 樹里を貶める奸計
九
レーザービームによる痺れが取れてきて漸く樹里が目を覚ました時には両手、両脚を頑丈な鎖で大きな樹の幹に縛り付けられていた。パワーブレスを奪い取られて最早生身の人間の力しか出せない今の樹里には、鎖を引き千切る力など出せる筈もなかった。
その場に囚われているのは樹里一人だけで先に捕らえられた桃の姿は無く、どこか別の場所に監禁されているらしかった。その樹里の前にやってきたのはパラノイア軍団の総指揮官、デクスター総統だった。
「は、デクスターね。桃をどうしたの?」
「はっはっはっ。オーイエロー。まずは仲間の心配か? お前は自分がどういう状況に陥っているのか分かっているのか?」
そう言われて、樹里は自分の自由を奪っている鎖を何とか振りほどこうともがいてみるが、鎖と手枷、足枷はびくともしない。
「お前たちの弱点はもう気づいているのだ。お前たちは仲間が捉えられて苦しめられているのを見ると、途端に冷静さを失ってしまうのだ。助けようと思う余りに隙が出る。そこがこちらの狙い目なのだ。」
そう言われてみて樹里はホログラムの囚われた桃の映像を観て、つい冷静で居られなくなり仲間に連絡するのもおろそかに飛び出してしまったことを後悔していた。
「桃は・・・。桃はどうしたの? 何処にいるの・・・?」
「そんなにオーピンクのことが心配か? あいつは今、次のオーレンジャーを捕える為の囮になっているのだ。オーブルーとオーグリーンの二人だ。あの二人はオーピンクのことが相当気になっているようだからな。オーピンクが辱められている格好を見せてやれば、同じように慌てて助けにやってくるって訳だ。それが罠とも知らずにな。お前にも見せてやろう、オーピンクの哀れな姿をな。」
次へ 先頭へ