樹里両手拘束戦闘

妄想小説

超力戦隊 オーレンジャー 樹里を貶める奸計




 十七

 三人がそんな格好をさせられて吊るされているとも知らない樹里の方は後ろ手に嵌められた透明な手錠で拘束されたまま、パラノイアの兵士たちとの闘いの場に引き出されていた。
 そこには既に五人の兵士が樹里がやってくるのを待っていた。それだけではなく、更にその後ろには三人のビデオカメラを構えた撮影クルーの役目のパラノイアの別の兵士がそれぞれ角度を変えて、樹里と兵士たちが闘う様を撮影しようと待ち構えていたのだった。
 (こ、こんな格好でどうやって闘えっていうの? そうだ、私のことを撮影して全世界の子供達に向けて放映するのだと言っていた・・・。無様なところを見せる訳にはゆかないのだわ。)
 樹里は大きなハンデを背負っても死に物狂いで闘い抜かねばならないのだと心に誓うのだった。
 兵士たちの前に引き出された樹里の様子は、桃、オーグリーン、オーブルーの三人で吊られたオーレンジャー達の目の前にも、更には独りだけ別で吊るされた隊長、オーレッドの目の前にもホログラムスクリーンによって映し出されていたのだった。
 「あ、あれは・・・。樹里じゃないの。樹里はまだ捕まっては居なかったのだわ。樹里、頑張ってやつらを倒して私達を助けに来てっ。」
 「樹里っ。お前ならパラノイアの兵士五人ぐらい簡単に倒せる筈だ。一気にやっつけてくれっ。」
 「樹里っ。何時も通りに戦えばいいんだ。お前になら出来るっ。」
 口々に樹里を応援して叫ぶ三人の声はしかしながら樹里には届いていないのだった。

 (樹里っ。お前だけが頼りなんだ。油断しないでパラノイアの奴等をやっつけてくれ。)
 一人だけで吊るされている隊長オーレッドの吾郎も心の中で樹里に声援を送っていた。

 樹里の前に迫ってきたパラノイアの兵士が繰り出すパンチを巧みに除けた樹里だったが、反撃の突き手を出すことは出来ない。右に、左にとパンチを除けるだけで、徐々に後ろに下がるしかないのだった。五人のうちの二人が樹里の後ろ側に回り込むと、後ろに下がるのも叶わなくなる。
 (どうしよう。このままじゃ、除けきれないわ。)
 そう思っていた矢先に再び兵士のパンチが繰り出されてきた。それを避けようと一歩後ろに下がった樹里を後ろから忍び寄ってきていた別の兵士にとうとう後ろ手の腕をがっしりと掴まれてしまう。

tbc

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