妄想小説
超力戦隊 オーレンジャー 樹里を貶める奸計
十一
デクスターのオーレンジャー達を捕える作戦はほぼ同一だった。誘き寄せたオーレンジャーの隊員ひとりずつに岩肌に縛られて磔にされた桃や樹里の映像をホログラム映写機であたかもそこに居るように映し出し、救出するために岩山をよじ登り両手、両脚が塞がった状態で背中を見えた隊員たちに後ろから桃や樹里を気絶させたのと同じ光線銃でレーザービームを浴びせるというものだった。
オーレンジャーの三人が捕えられていく様は、樹里にもモニタ画面で見せられていた。思わず「駄目よ。罠なのよ。近づいては駄目っ。」と叫んでしまう樹里の声は画面の向こうには届かないのだった。
「ふふふ。どうだ、オーイエロー。間抜けな奴等がこんなにも易々と捕まるのはまるでゴキブリホイホイのようだな。」
「うっ。ゴキブリだなんて・・・。何て言う言い方するの。酷いわ。」
しかし実際、あっと言う間にオーレンジャーの男性隊員たちはゴキブリでも捕えるが如くに桃と樹里を餌に使われて捕えられ、パラノイアの基地に運ばれて岩窟の牢屋に繋がれてしまうのだった。
「私達を囮に使って、オーレンジャーを一人ずつ捕えるなんて、一体どうしようって積りなの? 私達オーレンジャー以外にも地球防衛軍は一杯いるのよ。」
「ふふふ。しかし地球防衛軍の精鋭であるお前たちが捕まって我々パラノイア軍団に屈服したとなれば、地球防衛軍の士気はさぞかし下がるだろうからな。」
「私達オーレンジャーは例えどんな目に遭ったってパラノイアに屈したりはしないわ。」
「さあ、それはどうかな。それに我々には地球を乗っ取る為のもっと遠大な計画があるのだ。お前たちはその手先として使われるのだ。」
「何ですって? 私達がパラノイアの手先に・・・? そんな事、する筈がないじゃないの。」
「それはもうじき分かることさ。お前たち、パラノイアの進撃を退ける映像を撮って、プロモーションビデオとして流すつもりだったらしいな。」
「どうしてそんな事を・・・。」
「お前たちの通信は我々に全て傍受されているのだ。それで、その作戦を逆手に取ってやろうって計略なのだ。」
「逆手に取る・・・?」
「お前たちが我々、パラノイア軍団に散々にやられるシーンをこちらが取って全世界に流してやろうというのだ。しかもそれだけじゃないぞ。このビデオを観る地球上の子供等が我々パラノイア軍団の味方になるように洗脳してやるのだ。」
「子供たちを洗脳ですって? そんな事、出来る筈ないわ。」
「出来るかどうかは、これからやってみれば分かることだ。その為にはまずメインの出演者であるお前にビデオに映る前の準備をする必要があるからな。おい、兵士ども。あれをこいつにするのだ。」
「な、何をするつもり・・・?」
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