妄想小説
超力戦隊 オーレンジャー 樹里を貶める奸計
二
「そういう訳で、男性陣三人の援軍が到着する前に、私達女性陣二人だけでパラノイアの兵士たちを蹴散らして退散させたんです。」
取材を受けていた桃は、取材チームが向けるマイクに向かって武勇伝を語ったところだった。そこへオーレンジャー秘密基地から緊急対応要請の報せが入る。
「現在、魔王の森にパラノイアの兵士数名が出没した模様。手の空いているオーレンジャーはすぐに急行されたし。繰り返す。現在・・・・。」
「大変だわ。またパラノイアの兵士がやってきたみたい。すぐ行かなくちゃ。」
「あの、我々撮影クルーも同行していいですか。」
「もちろんよ。後から付いてきて。」
桃はすぐに他のオーレンジャーに応援を要請しようか迷ったが、撮影隊に自分一人でもどれだけ活躍出来るのかを示すいいチャンスと思った。
(形勢が不利になったらすぐにパワーブレスで応援を頼めばいいんだわ。それまでは私一人でやれるだけやっちゃおう。)
桃は仲間を呼ぶよりも状況を把握するのが急がれるのだと自分を納得させたのだった。
(居たっ。パラノイアの兵士だわ。一人・・・、二人・・・。三人だけね。たった三人なら私一人で充分だわ。見てなさい、パラノイアの兵士ども。)
後ろから撮影クルーがカメラを回し始めたのを意識しながら桃は戦闘モードに入る。
「掛かってきなさい、パラノイア軍団。私、オーピンクが独りで相手をしてやるわ。」
オーピンクの得意技、空手の鉄拳をパラノイアの兵士に繰り出そうとしたその時だった。桃の後方の撮影カメラからレーザービームが放たれ、桃の身体を襲う。撮影クルーというのはパラノイアたちの扮装した贋物で、撮影カメラのように見せかけていたのは光線銃だったのだ。
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