妄想小説
走る女 第二部
七十三
一方の莉緒の方は、久々にグランド管理人事務所で管理人の蛭田に対峙して権田市長の秘書代理として過ごした二日間の報告をさせられていた。
今しがたまで、自分が撮影した市長の情けない姿の一部始終を蛭田に観せ終えたところだった。
「で、どうなんだ。市長をM男にしたてたS女の気分は? すかっとしただろう。」
「貴方に命令されたからやっただけです。あの市長には何の恨みもありませんから。」
「市長をあんな格好にさせて、ベルトの鞭で叩いて気持ちよくはなかったのか。」
「・・・・。」
蛭田にそう言われて莉緒は答えに窮する。別に男を辱めて鞭打って快感を得るような変態的な趣味はないと、そう言い切りたかったが、確かに市長の尻を叩きながらある愉悦に酔いしれていた自分がなかったとは言い切れないからだった。
「その顔は満更でもなかったようだな。お前はあの市長とは相性が良さそうだ。」
「そんな風に言われても嬉しくはありません。それより、あの花音っていう女の子にもどうせ何かしたんでしょ?」
「何かとはどういう事だ。」
「貴方のことだから、きっと恥ずかしい写真でも撮って脅したんじゃありませんか?」
「さあ、どうかな? あの娘はお前と違って随分立場が違うからな。」
「私とは立場が違う?」
「お前はもう俺の目の前で何を言われても服従するしかない立場だって事だよ。」
「それは貴方が私の恥ずかしい画像や映像を何時でも夫や夫の会社に送れるのだぞって脅すからです。あの娘は違うと仰るのですね。」
「まあ、今のところはな。しかしいずれ屈服させてみせるさ。なにせ、あんないい玉だからな。」
「随分あの娘のことは気に入っているみたいですね。」
「それはお前の知ったことではない。お前はただ俺の言うままにしてればいいのさ。さ、服を全部脱いでみせろ。」
「今、ここでですか?」
「そうだ。管理事務所の入り口の鍵は掛けてある。さ、裸になれ。」
莉緒はあらためて自分の立場を思い知らされて、唇を噛みしめる。しかし、逆らえば本当に夫や夫の会社に映像を送りかねないことはよく分かっていた。
「わかりました。」
莉緒は首を項垂れて着ているものを脱ぎ始める。
「ブラもショーツも全部だ。素っ裸になったらこれを首に嵌めろ。」
男がそう言って差し出したのは鎖が付いた首輪なのだった。莉緒が全裸になってそれを首に嵌めると、男は鎖の端を持って莉緒に這いつくばるように命令する。
屈辱的な格好だった。しかし莉緒にはそうせざるを得ないのだ。男は椅子に座ったまま、ズボンのチャックを下ろして中からイチモツを取り出す。
「何をしたらいいのか、言われなくても分かるよな。」
莉緒は犬のような格好で這いつくばったまま男に近づくと股間に頭を埋め、男が取り出したものを黙って口に含むのだった。
莉緒にフェラチオをさせながら、蛭田はどうやったら早乙女花音を莉緒と同じ立場にまで貶められるか策略を練るのだった。
(もう暫くは、こっちの正体を隠したまま徐々にあの小娘を窮地に追いたてていくしかないのかな・・・。)
莉緒にペニスを吸わせながらそんなことを思案している蛭田だった。
蛭田が市長の権田から聞きだしたところによると、早乙女花音は朝日市の裏の有力者の孫娘だとの事だった。朝日市の土木、建築、建設業を手広く牛耳っている角善興産という会社の大物らしく、息のかかった中小の会社も多く、その人脈を頼って権田も前の市長選で何とか再選を果たせたらしかった。しかし関連する傘下には会社組織とは言えないような組組織もあって危ない事をしているらしいと専らの噂でもあった。その角善興産の中心人物、角田源次郎は孫娘の花音をたいそう可愛がっているのだが、花音自身はお嬢様育ちということもあって、大学を二浪したものの一向に合格しそうな気配もなく、選挙で助けられた恩義もあって、この花音を権田が私設秘書として雇うことになったそうだった。そういう危ないバックが付いているだけに、蛭田も下手な手出しは出来ないと二の足を踏んでいるのだった。
莉緒については自分の策略どおりにことが運んで、思うが儘の性奴隷のように貶めることが出来たものの、莉緒を弄ぶことにそろそろ飽きてきたところに早乙女花音という新鮮で初々しい魅力的な女を見つけたのだった。花音をなんとか莉緒のように自分の性奴隷に出来ないか、それが目下の蛭田の一番の関心事なのだった。
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