妄想小説
走る女 第二部
六十四
「こんな事してて楽しいのかね、君は。」
「いいえ、ちっとも。私が好きでこんな事してると思うの? 貴方みたいな変態じゃないわ、私は。貴方は嬉しいのでしょうけどね。」
軽蔑するようなまなざしで莉緒は言い放つ。
「いつまでこんな格好をさせておくつもりなんだ。今日は市議にも出なくちゃならんのだぞ。」
「市議にはこれを着けたまま出て貰うのよ。安心して。上には背広もズボンも身に付けるの、赦してあげるから。でもトイレは駄目よ。今日、一日、その紙オムツの中にするのよ。」
「え、市議の間、服の下はこの格好のままなのか。ううっ・・・。」
「さ、手錠外してあげるから、あとは自分で服着なさい。あ、そうだ。まだすることが残ってた。」
そう言うと、莉緒は市長の後ろ手錠を外す代わりに持参したバッグの中からペット用の小皿を取り出す。市長の少し前にそれを床に置くと、ビデオカメラを市長の机の上に置いてセットする。
「ちゃんとやったという証拠を撮らないといけないの。私も命令に従わないと赦して貰えない身分なの。したくてしてるんじゃないから、そう理解してね。」
そう断ってから市長の目の前でスカートを少し捲り上げて中に手を突っ込んでショーツを引き下ろす。そこに立ってよく観てるのよ。」
パンティを膝まで下ろしたまま、ペット用の小皿の上を跨ぐようにしゃがむといきむと、すぐに黄金色のゆばりが迸り出る。それは溢れんばかりに小皿に注ぎ込まれていた。
「さ、舌で舐めて呑み干すのよ。わたしが恥ずかしいのを我慢して折角用意してあげた聖水よ。呑み終わらなければ、何時まで経っても市議には行かれないのよ。」
市長は(本当に呑み干すまで赦してはくれないのだな)と確認するように莉緒のほうを見つめていたが、後ろ手錠のままおもむろに膝を突くと頭を小皿に向けて下げるのだった。
花音は行く手にやっとトイレを見つける。
(あ、あったわ。ここだったのね。一刻も早く入らなくちゃ。)
そう思って近づいて行くと、後ろから声が掛かる。
「早乙女くん。ちょっと待ちたまえ。」
「あ、市長。な、何でしょうか。ちょっと急いでいるのです。」
「いや、こっちも急ぎの用なんだ。これを・・・。」
「あの、済みません。後にして頂けませんか。いますぐトイレに行かないと・・・。」
「花音ちゃん。そのトイレは使えないよ。」
「で、どうしてですか。あ、あれっ? 扉が開かない。」
「ほらね。そこは使えないと言っただろ。」
「そ、そんな・・・。ああ、どうしよう。他には無いの?」
「ふふふ。洩れそうなんだね。もう我慢出来ないのかい?」
(ああ、どうしよう・・・。)
その時ふっと花音は目が覚めたのだった。
(え、ここ…何処?)
金縛りにあったかのように身体が自由に動かない。ふと気づくと、両手が背中で縛られているのに気づく。胸の周りにも縄が何重にも巻きつけられているのだ。その時、自分がタイルの床の上に寝転んでいるのにも気づく。
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