びしょ濡

妄想小説


走る女 第二部


 五十七

 「あーあ、どうしたんです。ずぶ濡れじゃないですか。」
 「あ、あの・・・。突然、このシャワーから水が出てきて・・・。」
 「多分、掃除しているうちにこの止水栓に触れてしまったんでしょう。このシャワー、以前から調子が悪くて、コックを開いてもお湯が出なかったりコックを締めてもお湯が止まらなかったにしてたんです。きっと誰かがお湯が出なくなった時、止水栓を開けたままにしていったんでしょう。」
 そう言いながら、蛭田はシャワーのコックを調べる振りをしながら止水栓を締め水を止める。
 「ああ、それじゃ下着までびっしょりでしょう。ちょっと待っててください。今、バスタオルをお持ちしますから。」
 そう言いながらシャワー室の外の脱衣所からバスタオルを持ってくるとびしょ濡れ状態の莉緒に手渡す。
 「そうだ。管理人棟の方に洗濯機と乾燥機があるから、そこでさっと濯いで乾燥機に掛けてきてあげますよ。なに、20分もすれば乾くと思うんで、その間だけバスタオルに包まって待っててください。そこのトイレで着替えて。濡れたものはこの袋に入れてくださいな。」
 そう言って、花音をシャワー室の隣の監視カメラを仕込んであるトイレに追いやるように向かわせる。管理人室では無線で繋がった蛭田のパソコンが花音が濡れた服を脱いでバスタオルを纏う様子が逐一録画してゆく。
 暫くしてバスタオルに身を包んだ花音が、申し訳なさそうに濡れたものを蛭田に渡されたレジ袋にいれて差し出す。
 「本当に申し訳ないです。私がそそっかしいばかりに。」
 「いや、貴女のせいではないです。故障したシャワーがあるって、ちゃんと教えておかなかった私がいけなかったんです。ちょっとだけそんな格好で申し訳ないですが待っていていただけますか。」
 そう言って花音の手から濡れた作業着と下着を奪い取るように受け取ると、バスタオル一枚の花音を残してそそくさと管理人棟の方へ向かう蛭田なのだった。
 まんまと花音をバスタオル一枚の全裸に剥くことに成功した蛭田は、管理室に戻ってきて一人ほくそ笑む。奪ってきたレジ袋から花音の下着だけを取り出すと、裏返して内側を検めるのだった。まだほんのりと体温の温もりを保っているかのように見える濡れた下着は官能的だった。はっきりとした沁みこそ残っていないものの、性器が当たっていた筈の部分は心なしか微かな汚れが残っているようにも見えるのだった。蛭田はそのクロッチの内側部分を鼻に近づけてみる。臭いが感じられるような気がするだけで、蛭田のあの部分は既に硬くなり始めていた。乾燥機に掛けている時間を装うのに時間はたっぷりあった。花音の濡れた下着を存分に愉しみながら、最後はその下着の中に射精して、おのれの精液を沁み込ませるようにごしごし擦って吸い込ませる蛭田だった。

花音

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